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中国人社会に恐怖心募る=殺人4件含む連続強盗事件=サンパウロ市中心部で3カ月に50件

ニッケイ新聞 2008年11月6日付け

 四日グローボ・サイトや五日アゴーラ紙によると、サンパウロ市中心部で働く中国人の店や自宅を襲う強盗事件が、十月四日~十一月一日発生の殺人事件四件も含め、二、三カ月中に少なくとも五〇件発生し、中国人社会に恐怖心が募っている。
 多国籍の移民を受け入れ、調和と融合を保ってきたブラジル民にとっても衝撃的な今回の事件は、二〇〇一~〇二年の中国人マフィアによる事件とは違い、ブラジル人による犯行。中国人が被害者であることとともに、暴力性が際立つのが特徴だ。
 最後に報告された事件では、泥棒除けの電線を切った上、寝込みを襲って侵入した強盗が、姑と子供三人を含む家族六人を縛り、一時間半に渡って暴行。殴る、蹴るの暴行は全件共通というが、銃の台尻で殴られ、ロシアン・ルーレットまでとあっては生きた心地もない。家中の金を集めた後も、まだあるはずと脅し続けた例は他にも報告されており、金を出させるためには高齢者や子供にも暴行を加えるという。
 殺人に及んだ四件では物色された形跡がなかったものが一件あるが、それ以外は強盗殺人事件で、殺害手段も、射殺、金槌で殴り殺す、粘着テープで窒息、絞殺と一定せず、複数のグループによる犯行の可能性もある。盗品はコンビや被害者の乗用車で運び出されており、言葉が通じないことで、被害者は益々混乱し、犯人は苛立つという構図も、殺人にまで及ぶ暴行強盗事件となる要因のようだ。
 国内在住の中国人二〇万人中、合法的滞在者は二万二〇〇〇人とアゴーラ紙が報じているが、ブラジルでは、中国人には商人が多く、銀行口座を持たず自宅貯金という概念も。被害届を出すことによる不法滞在発覚を恐れ、届を出さない例もあり得るが、高齢者が一人で留守番などの習性も含めた独自の文化や言語の問題も、連続強盗殺人事件の背景にあるという。
 当初こそ盗品回復を考えていた被害者達も、回が重なり、殺人まで起き始めると、再度被害に遭うことへの恐怖心が強くなり始めているという。事件のことを口にすれば犯人達の関心を惹くと恐れる中国人商人を中心に、次はわが身か、と不安な日々を過ごしている中国人社会。日本人にも誤認被害の可能性を案ずる声が出て来始めた。