ニッケイ新聞 2008年11月6日付け
天災は忘れたころにやってくるー。天変地異の少ないブラジルではこの言葉は意味を失うが、コロニアにおいては〃天災〃を〃天野〃に変えると座りがいい。東京在住の怪人、天野鉄人が雌伏の時を越え、活動を始めた▼ご存知ない方に少々解説すれば、リベルダーデに持つ土地の譲渡、政治家とのパイプをほのめかし、センター建設を御旗に、文協、援協、県連の御三家を始めとする各団体を翻弄してきた御仁である。シンパ拡大のためか、スポーツ団体などにレンガのような札束を面前に積む実弾攻撃も素晴らし過ぎる。「二世は百姓でいい」「ブラジル人に日本精神を」とキレ良く繰り出す天野節をこよなく愛する記者は、送られてくるFAXや資料で「天野ファイル」を作成、コロニア随一(世界唯一か)の天野研究家を自任しているが、新たなコレクションが加わった▼文協に隣接する軍所有地を取得し、「日本センター」(十三階)を建設する案である。資金の半額は自身の負担と明記。土地評価額は四百万レアルだったと記憶する。となれば、半分は一億円だが、東京に資産を持つ天野氏、さして難しいことはないだろう▼最近の動きを注視してか、独立を検討する移民史料館、センター案が浮上する県連も各階を占めている。最上階を陣取るのは、エスペランサ婦人会によるレストラン、喫茶、サロンだ。ここは是非、展望回転式にして、北の偉い人のようにアマノ像を設置、アマツ日のようにアマネク光を与えてほしい。ともあれ、この案がコロニアにとって、〃人災〃とならないことを祈る。 (剛)