ニッケイ新聞 2008年11月5日付け
二〇〇六年以来好調だった車両販売が経済危機のあおりを受け、十月の新車販売は、前年同月比二・一二%、前月比では一〇・九%も減と四日付け伯字紙が報じた。
この数字は、トラックやバスも含んでいるが、乗用車と商用軽車両だけを見ると、前年同月比三・三%、前月比一一・六%減。新車販売が前年同月比で落ち込んだのはここ三年で初めてだ。
全国自動車工業会(Anfavea)によれば、新車販売減少の最大の理由は、ローンが組めなくなったこと。同日エスタード紙によれば、サンパウロ市内では三日、ローンを組めるか否かの相談が通常の半分以下だった販売店も数店あったという。
では、なぜローンでの販売が落ち込んだのか。その答えは、支払い期間の短縮、高金利、頭金の割合の変更などだ。
支払い期間短縮は一回当たりの支払額が高くなり月々の負担増という結果を生むが、ここ数週間はローンの金利も二〇%から三〇%に上昇。一日エスタード紙によれば、車両価格の一〇~二〇%だった頭金も五〇%まで要求されるようになったという。銀行側の承認基準も、一回の支払額が収入の三五%までから収入の一五%までと変更され、ローンでの購入はより困難になっている。
このような状況下で悲鳴を上げるのは消費者だけではなく、自動車生産者や販売業者もだが、十月三十一日の財務相と中銀総裁の発表によれば、車両販売の成長達成のため、十一月には伯銀と連邦貯蓄銀行による特別資金開放実施とのこと。
世界経済危機による市場流通資金減少で、ローンでの販売が七〇%を占める車両販売に影響が出た後だけに、資金投入効果のほどはまだ不明。伯銀関係者は、十月の市場投入済み資金の二五%は車両購入者向けで、二九%は企業向け融資だというが、その恩恵は十月の車両販売減少を防ぐには至らなかった。
ローン利用が困難になることによる購買力低下や自動車業界の集団休暇拡大、二日エスタード紙の四二%の企業が〇九年に従業員削減予定の報道などの悪条件下、消費減退、景気後退という流れを如何に断ち切るか。「最悪の局面は乗り切った」という政府経済スタッフの言葉の真偽はこれから問われる。