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大型公共工事に赤信号=貿易に活路を求む=金融危機、インフラを蝕む=工事ファンド設立を検討

ニッケイ新聞 2008年11月4日付け

 工事中または工事予定の大型公共産業基盤整備(インフラ)プロジェクト三百二十四件が、九百億レアルの資金不足で遅延の憂き目にあると基幹工業連盟(Abdib)が十一月一日、明らかにしたことを十一月三日付けエスタード紙が報じた。インフラ工事は、発電や鉄道、国道、港湾など。工事予算の七〇%は、工事の中盤で社会経済開発銀行(BNDES)から支払われるものだが、金融危機の煽りで調達難が予想される。
 さらなる経済発展に不可欠な基盤整備事業に関し、多くの大型プロジェクトが進行中だが、資金不足のため大幅に工事が延滞している。工事継続のため通例は社債発行や手形の割引で急場を凌ぐが、全ての道が閉ざされ、自己資金で賄うしかなくなった。
 工事資金九百億レアルのうち五百七十億レアルは、工事開始のため資金待ちの状態にある。多くの工事は机上段階にあり、産業の規模的な拡大の足を引っ張る要因になっている。金融危機が本格化する前に、運転資金を金融機関から調達した下請け企業は幸運だった。
 例えば、エレトロブラス社は先月、外国に送金予定だった四億ドルを中止し、国内のグループ企業による水力発電(サントアントーニオ、ジラウ)やアングラ3発電所などの工事資金に回した。
 同紙の別表によれば、契約済みだが工事が始まっていない事業リストで、最も金額が大きいのは水力発電施設の十四件(二八九億レアル)、火力発電も三八件(一一〇億レアル)もある。件数が最多なのは小型水力発電施設で七八件(四九億レアル)もある。
 これらの工事の遅れが、将来の産業発展に影を落としそうだ。
 この資金調達危機に対し、連邦貯蓄銀行(カイシャ・エコノミコ)と年金基金、銀行などによる百億レアル規模の公共工事ファンドの設立が政府レベルで検討されている。ファンドが工事契約書や債券を売買して、資金調達を行う。港湾などはクレジット不足だけではなく、輸出入の落ち込みも懸念事項となっている。
 同連盟のパウロ・ゴドイ会長は、今はまだ資金は回っているとしながらも「物事には限界がある。将来の資金計画が立たないと先の展望はたたない」と批判している。