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ユタテ・ゴールデンショー開幕=サンパウロ市=コロニア発の5歌手熱唱=音楽、踊りから演劇まで

ニッケイ新聞 2008年11月4日付け

 総合音楽プロダクション「ユタテ・レコード」(松岡伸雄社長)の創立一周年と日本人移民百周年を記念した歌謡ショー『ユタテ・ゴールデンショー』が一日に開幕した。同レコードの誕生とともにCDデビューした中村由美さん、北條美咲さん、宮城愛子さん、伏見まりさん、西川正さんの五人による初公演。一、二両日に行われた四回の公演には、合計八百人以上が駆けつけ、趣向を凝らしたステージを堪能していた。ディレクターとしても初公演に臨んだ松岡社長は初日会場で、「夢がかなった想い。こんなにお客さんに喜んでもらえて嬉しいです。もっとたくさんの人に観てもらいたい」と感想を語った。
 海藤三味線教室による三味線演奏で幕あけ。続いて島田正市さんが指揮を振る金管バンド「サンボップ・ビッグ・バンド」の生演奏がステージで流れ出すと観客からは大きな拍手が送られ、伏見さんによる「船頭小唄」が始まった。
 続いて舞台に登場したのは着物姿の中村さん。「おぼろ月夜」を堂々とした様子で高らかに歌い上げ、続いて青いドレス姿の宮崎さんは、リズムに合わせてステップを踏みながら「別れのブルース」を雰囲気たっぷりに歌った。
 曲が終わるごとに幕が下がってナレーションが入り、続いて始まったのは、劇団新波による移民開始三十年頃のコロノ一家を描いた劇。家計を切りつめ医学部を卒業させた次男がガイジンと結婚してしまうという話で、観客からは笑い声が絶えず、終盤は涙を流す姿も。
 伏見さんと中村さんも劇に特別出演。近所のコロノ夫婦の妻を演じた伏見さんは劇の中で一曲披露するなど、趣向を凝らした演出に会場は沸いた。
 休憩が入り、後半は白いTシャツにジーパン姿の西川さんと、水玉模様のドレスを着た中村さんと宮城さんがアメリカン・メドレーを賑やかに歌って始まり、続いて伏見さんが演歌「花街の母」で引き締めた。北條さんの「ここに幸あれ」では、ミリアン大刀コーラスの十人がバックコーラスを響かせた。
 続いて宮城さんが「ここはサントス―」と赤いドレス姿で会場を歩き「哀愁ルンバ」を披露。ステージでペアのダンサーがルンバを踊り、雰囲気を盛り上げた。
 丹下セツ子さんと花柳龍千多さんも出演し、「梅川忠兵衛」の舞いを熱演。公演の最後は五人の歌手がそれぞれの持ち歌を披露し、盛大な拍手に包まれて幕を閉じた。
 初日の公演を終えた伏見さんは、一年の努力を振り返りつつ初公演を迎えられ「責任重くなったけど感無量」と充実した表情で話し、五人に曲を提供した島田さんは、自分の子供のようだというそれぞれの活躍を「嬉しいね」と微笑みながら喜んでいた。
 プロとしてのショーにこだわり今公演を手がける松岡社長は、「これなら自信を持っていろんなところで観てもらえる」と笑顔で自信を覗かせ、サンパウロ市だけでなく今後活動の場を広げてゆきたいと抱負を語った。
 残りの公演は、十五、十六日の午後一時からと午後五時半からの一日二回。全て日本語。入場料は一人五十レアル。予約などは11・3209・0058まで。