ニッケイ新聞 2008年11月4日付け
日本は中東にお世話になっているのにアラブ諸国の事情についてはどうも疎い。言うまでもなく、列島の産業と電気や車を動かすエネルギーは石油やガスであり、それの輸出国がサウジなどの中近東諸国なのである。その一つにアラブ首長国連邦があり、フリーゾーンの都市ドバイは話題が多くよく知られる▼この国は北海道ほどの面積ながら原油埋蔵量は世界4位か5位とされ、資金量は豊かである。人口は約500万人だが、アラブ人はこのうちの20%にすぎない。他の8割はインド、フイリッピン、エジプトなどからの「出稼ぎ人」なのも、日本人から見れば真に以って興味深い。これだけの労働力が必要なのは、原油枯渇後の事を考え観光客を呼ぶためにリゾート施設の建設を進めているからなのだ▼ドバイの人工島群「パーム・アイランド」は目玉であり、旅行好きだけではなく世界の国々から熱い目が注がれている。海を埋め立てた人工の島だけれども、それが一つや二つではない。300もの島々を造成し観光の基地にするという壮大な計画なのである。世界一高いホテルの「ブルジュ・アル・アラブ」は、目下―建築中だが超高層の800メートル以上のビルになる▼ペルシャ湾に面したこの国は今、多彩なプロジェクトがあって多忙を極めており、日本の進出企業も300社近くで先ごろ、日本商工会議所が設立されたし、鉄道敷設や超高級分譲マンション建設という大規模な企画に参加しているのは喜ばしい。確かー裏千家が茶会を開きお点前を披露し大変な人気だったそうだし、こんな繋がりをこれからも強めていきたい。 (遯)