ニッケイ新聞 2008年11月1日付け
サンパウロ市マルジナル・チエテで十月三十日に起きたトラック転倒事故は、積荷処理の遅れで高速側車線完全開通に一四時間を要した、と十月三十一日付け伯字紙が報じた。
事故発生は一時半頃。四〇トンの砂糖を載せ、サンパウロ州リベロン・プレット市からサントス港に向かっていたトラックが転倒したもので、交通技術公社(CET)職員は事故発生から五分で現場に到着した。
ところが、怪我人もなく、爆発の危険もないことから、その時の処置は道路封鎖のみ。CETやラッパ区役所職員らが積荷を降ろし始めたのが四時半。しかもその荷降ろしも、別のトラックに移すのではなく、道路に積み重ねていくだけ。六時四五分に車体が起こされたトラックを道路脇に寄せた後、砂糖の袋を移動させ、二車線分が開通したのが八時半だった。
その後の処理は、CETが積荷回収は運送会社の責任と主張したことで遅れ、路上の積荷撤去は同社派遣のトラック到着後の十一時から。五〇キロの袋八〇〇個を積み直し、高速側車線が全面開通したのは、事故発生から一四時間以上も経った一五時四八分だった。
今回の事故で気がかりなのは、この事故が十月だけで四件目の未明のトラック事故であること。エスタード紙は、サンパウロ市のトラック乗り入れ規制強化で、中心部の特別規制区域の荷物積み降ろし作業が未明に集中することに触れ、夜間のCET職員数は不十分としているが、マルジナルなどの乗り入れ制限拡大で真夜中の運転を余儀なくされる長距離トラックも多い。
また、交通量の多いマルジナル・チエテの高速車線全部の封鎖で、サンパウロ市の三十一日九時の渋滞は一三八キロとトラック乗り入れ規制強化後最悪。カステロ・ブランコなど、サンパウロ市に入る幹線道路の車の流れにも同事故の影響は及んだという。
過重なトラックを生体リズム外の時間帯に走らせるという無理で事故が発生して、車の流れにムラが生じ、諸活動に無駄が生じる3Mの典型だ。
また、トラック小型化で増えたというサンパウロ市のトラック強盗も、乗り入れ規制強化の副産物の一つ。渋滞の一部改善で、十一月一日開始予定の小型トラック規制強化は六カ月先送りとエスタード紙が報じたが、公共交通網や道路整備、意識改革などで脱車社会を目指さなければ、事故や渋滞、犯罪率改善は困難だ。