ニッケイ新聞 2008年10月28日付け
サンパウロ市長選に臨んだジルベルト・カサビ現職市長(DEM=民主党)は二十六日、有効票数の六〇・七二%を得、マルタ・スプリシ前観光相(PT=労働者党)に百三十四万票の大差をつけて再選を決めたと二十七日付けエスタード紙が報じた。
当選の記者会見に臨んだ同市長は「DEMはPSDB(民主社会党)の付録ではない」と宣言したが、政治的後見人セーラ知事に対する犠牲的精神では、二〇一〇年セーラ大統領誕生の功労者になるとの意欲を見せた。
国際的金融危機の折り、政府も市も予算カットを余儀なくされる。選挙民の不評を買う医療と交通機関、簡易住宅、教育予算をカットせず、いかに公共工事を継続し、存在感を示すかが新市長の手腕の見せ所とされる。
これまでは、市行政についてPSDBに全て前以って打診したが、これからはPMDB(民主運動党)やPR(共和党)、PSC(キリスト教社会党)にも相談することになったと市長はいう。
市長には、これまで生死を共にした五人の忠僕がいる。五人は、市長出世のためのシステムを立ち上げ、お膳立てをしてくれた。セーラ知事とのコネをつくり、アウキミン前知事をとの摩擦を避けたのも五人だ。
大統領選に向けた市行政の人事は、セーラ知事が選挙戦略に長けた有能な人物を指名するらしい。新しい課長の就任に伴い、前任者は州政府へ引き取るようだ。
カルドーゾ前大統領は、前回の選挙でPDT(民主労働党)の地盤であった南部を占領したPT(労働者党)が、今回の選挙で追い出されたことは特筆すべきニュースだという。
「ルーラ大統領の政権評価率は、今回選挙に反映するかと思われたが、それはなかった。二〇一〇年は、ルーラ大統領の後継者とセーラまたはネーベスとの対決になる。ここで夢と現実の違いをみることになる」と、前大統領は述べた。