ニッケイ新聞 2008年10月25日付け
弁護士の阪本隆昭さん(71、二世)が、父親の阪本武夫さん(故人)を題材にした小説「武夫の生涯(A Saga de Takeo)」を出版した。十年越しで完成したという同著を手に、十六日、知人の金子謙一さんと本紙を訪れた。
同著は、笠戸丸移民以前の話から始まり、昭和初期に来伯した父・武夫が対応できず日本へ帰国したが、日本でも馴染めずに再度渡伯するという物語。
登場人物は実在する人たちだが、内容はフィクション。主人公を通して、作者の隆昭さんの日伯両国に対する意見が述べられている。
隆昭さんは、「自分もデカセギ問題調査のために訪日し、文化、習慣などの違いを実感した。自分の両親たちも同じようなことを感じたのではないか」との思いから調査をはじめ、本にすることを決めて執筆活動をおこなってきたという。
「二世のインテリの人たちにぜひ読んでほしい。日伯間の文化の違いなどを感じ、おそらく共感できることが多いと思う。そんな人たちに読んでもらいたい」と期待を込めて話した。
全百七十七ページ、ポルトガル語(日本語出版も計画中)で書かれている。二千部印刷し、販売価格は二十八レアル。十一月初旬からサンパウロ市、バストス、クリチーバ、マリンガなどの書店で販売予定。