ニッケイ新聞 2008年10月23日付け
政府は二十一日、好況な建築業界への金融危機の悪影響に備え、社会経済開発銀行(BNDES)と連邦貯蓄銀行(CEF)が共同で支援する包括案を起草と二十二日付けエスタード紙が報じた。CEFは運転資金を融資し、BNDESは上場企業の社債を購入する形で体質強化を図り、建設業界で倒産が起きることを予防するのが目的。包括案は大統領の裁可待ちだが、予算は四十億レアル程度となる見込み。
建設業界は、政府が資本参加をすることで驚いている。公的資金の投入は、緊急対策にならないことで、資本参加という形式を採ったらしい。BNDESとCEFの資金力で、建設業の体質強化を図る。
つなぎ資金はCEF、資本注入はBNDESの役割だ。即時投入できる金額は、まだ不明。草案は企画省と財務省の検閲を受けて、大統領の裁可へ回るので上程は一週間後になる見込み。
二十二日中に大統領がサインすれば、サンルイスで開催される第八十回建築業者大会で発表できる。大会には大統領代理として、BNDESのコウチニョ総裁が招かれた。業界の資金係りを、両行が担うのだ。
建設業界は、上はゼネコンから下は左官親子に至るまで、大小の建設業者がたむろしている。全国に現在、十万の建設会社があって株式を公開しているのは二十五社だけ。この上場企業の社債をBNDESが買上げ、体質強化することになる。
雇用は千客万来、手と足と力があれば雇ってくれる。工事現場は重労働であるが、無学無知文盲も働ける失業者の受け皿の役割を果たしている。
建設業界代表者による対策委員会では、BNDES出資包括案が出る前、政府の住宅ローン窓口を代行する建設業強化案を検討していた。時代の変遷で動揺しない長期の住宅ローンが付与され、運転資金の後ろ盾ができるだけでも建設業界は安泰だ。
ブラジル建築産業会議所のパウロ・サファジ会長は「この対処策は我々が政府と練っていたものとは違う。正しいかどうか」と疑問を投げかけた。