ニッケイ新聞 2008年10月23日付け
国際労働機関(ILO)は十九日、ブラジルの給与格差が世界トップクラスと発表したことを二十日付けヴァロール紙が報じた。給与格差世界一は二〇〇五年、米国と中国、ブラジル。
ブラジルのGNP(国内総生産)に占める人件費は一九九〇年、四五%であった。それが二〇〇五年には、三九%に減った。ブラジルは二〇〇七年、百六十万の雇用を創出したが、七〇%は非正規雇用だ。
非正規雇用は薄給で職場環境が悪く、社会保障制度の恩典はない。ラテン・アメリカでは、非正規雇用の給与が正規雇用より平均で四三%安い。
ブラジルやマレーシア、モリシャスは、雇用創出と所得格差の是正が容易な条件を持っている。それでもブラジルは、所得格差のチャンピオンだ。金融危機は、低所得層との所得格差を広げる可能性がある。
世界的傾向として雇用が増えると、所得格差が広がる。経済発展で雇用は促進するが、雇用主は薄給で酷使することしか考えていない。平均給与水準が高い国ほど、経済が発展している。