ニッケイ新聞 2008年10月22日付け
一世のいない新生日系団体が活躍している。サンパウロ州カンピーナス市近郊にあるスマレー日伯協会(宮城早苗会長)が主催する第四回焼きそば祭りが九月二十八日、同会館で盛大に開催された。日系コロニアの絆を大事にし、後世に継承するために五年前、二世らが中心になって同日本人会は発足した。
一世のいない新生日系団体には、それなりの理由があった。役員らの話によれば、「世界のホンダ」が自動車工場を設立して以来、日系住民が急激に増えた。
そのため、同市役所も現地日系社会に絶大な理解を示すようになり、日本人会発足を後押しし、各種イベントにも協力を惜しまなくなったという。例えば、日本人会館のある土地も、市有地を長期無償貸与されたもの。会館入り口には鳥居とすずらん灯、ミニ日本庭園が日系らしさを主張している。
二百を数える日系家族が中心になり、一般ブラジル社会と一緒になって各種イベントを行うのが特徴。今回の焼きそば祭りのために一千食を用意したが、多くの非日系客が来場し、午後三時には売り切れとなった。それ以外に寿司、天ぷらなどいろいろな日本食も提供された。また、日用品、手芸品など多くの屋台が出て会場をにぎわした。
特設舞台も設けられ、近隣日系団体の協力により、各種日本文化紹介も行われた。プログラムにない飛び入りなどもあり、日系非日系を問わず、和気藹々とした祭りとなった。
「スマレー市の大半が来場したんじゃないか」と自慢する日系二世高齢者の隣で、非日系ブラジル人が楽しそうに踊る姿も見られた。新しい日系団体のあり方を見せつける一日となったようだ。(樋口四郎通信員)