ニッケイ新聞 2008年10月22日付け
今月十六日からサンパウロ市内で開かれている「第三十二回サンパウロ国際映画祭」。故・岡本喜八監督作品の回顧上映のほか、ニューヨーク在住の松下俊文さん(57、兵庫)の初製作映画「El Regalo de la Pacamama(パチャママの贈り物)」が上映されている。
同映画は、ボリビアのウユニ塩湖に住むケチュア族の親子が、キャラバンを組んで各地の村に塩を届ける話を中心に、昔から続く伝統や、アイデンティティーを失わないように訴えている。
テレビ関係の仕事をしていた松下さんは、二〇〇一年九月十一日にニューヨークで起こった同時多発テロをきっかけに、映画作りを始めた。
ウユニ塩湖を訪れた際に〃真っ白な世界〃に驚き、同地を舞台にした映画の作成を決意。ニューヨークとボリビアを十数回往復しながら撮影を続け、六年間の歳月を経て今年八月に完成した。
モントリオール、ボリビア、バンクーバなどでの映画祭で上映し、来場客からは大きな反響を得たという。二十日に行われた上映会には九十人分の座席に八十一人が来場した。
松下さんは「主人公の子供の成長などがあって大変だった」と苦労を語る。また、「今年は百周年だし、移民の人々に見てもらいたい。この映画は日本人移民の人たちにも共感できるものが多いのではないだろうか」と話し、次回上映への来場を呼びかけた。
次回の上映は二十四日午後八時からサンパウロ文化センター(Rua Vergueiro,1000)で上映される。入場無料。