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六本木男声合唱団=一夜限りのブラジル公演=日伯共演に満場の拍手=三枝団長「今までで最高」

ニッケイ新聞 2008年10月21日付け

 六本木男声合唱団倶楽部(略称=六男〈ろくおとこ〉、三枝成彰団長)のブラジル公演が十五日午後九時ごろからサンパウロ市内のサーラ・サンパウロで開催され、約一千人収容の会場がほぼ満員となる人気を博した。
 六男は一九九九年にエイズチャリティーのため特別編成された「元美少年合唱団」が母体となり、ケント・ギルバート氏、浅葉克巳氏、三枝団長により、〇〇年に「六本木男声合唱団」として結成された。命名の由来は練習場のバー「クレードル」が六本木にあったため。
 メンバーは、日本を代表する政財文化界の著名人などで構成されている。なかには譜面が読めない人も所属しているという。ウィーン、ベルリン、モナコなど海外でも公演している。〇四年に「六本木男声合唱団倶楽部」と改名し、活動している。
 今回のブラジル公演は一回限りで、六男ブラジル公演実行委員会が主催。サンパウロ大学交響楽団の演奏のもと、六男の団員約五十人とペトロポリス男性合唱団の団員十七人たちが美声を披露した。
 第一部では、『「レクイエム」よりアベマリア』、『故郷』、『夏は来ぬ』、『村祭』、『赤い靴』、『待ちぼうけ』、『荒城の月』、『てぃんさぐぬ花』で会場内に美声を響かせた。
 休憩を挟んでの第二部では三枝団長が故・盛田昭夫氏(SONY創業者の一人)を偲び、島田雅彦氏が作曲した壮大な声楽曲『天涯』全九曲を披露。ペトロポリスの団員がソロを披露するなどし、会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こった。
 一度目のアンコールを受けて、来場者と一緒にオーケストラの演奏を聞きながら「アクアレラ・ド・ブラジル」を合唱。二度目のアンコールでは、六男の団歌をアカペラで歌い、来場者からはスタンディングオベーションで賛辞が送られ、興奮さめやらぬまま公演は終了した。
 公演を終えたばかりの三枝団長は、「オーケストラが上手かったし、一緒に歌った子供たちが本当に上手だった。共演できて良かった」と満足の表情。「前回に来伯した時よりも上手だった。感激した」と笑顔で話し、今回の公演について「上手くいったと自画自賛している。様々な場所で公演を行ってきたが、今まで最高だった」と目を輝かせながら感想を語った。
 「天涯」の題名を付けた故・盛田氏の夫人、良子さんは今回の公演を聞くためだけに来伯した。「主人や友達、親戚たちが地球から遠く離れた地〃天涯〃で仲良く暮して欲しいとの願いを込めてこの名前を付けた」と話し、「ブラジルの公演は声の調整など大変だっただろうけど、大変素晴らしかった」と感動した面持ちで感想を述べた。
 初来伯した団員の一人、大久保利一さん(62、愛知)は「週四回練習した甲斐があったよ。あんなにスタンディングオベーションを受けるなんてことはなかったから気持ちよかった。本当に来れてよかった」と充実した様子で話した。