ニッケイ新聞 2008年10月17日付け
サンパウロ市ビラ・カロン区在住の土田町枝さん(84)がこのほど、自身の随筆や俳句などをまとめた句文集「うたかたの記」を出版した。
熊本県出身の土田さんは五七年に養蚕移民として渡伯。サンジョゼ・ド・リオ・パルド、バウルーなどを経てサンパウロで洗濯業や美容院、写真館などを営んだ。
ブラジル日系文学会の梅崎嘉明さんら有志が開いていた「サンパウロ文章会」で随筆などを書き始め、星野瞳さん主宰の「子雷」、故・富重かずまさん主宰の「蜂鳥」などで俳句を始め現在にいたる(俳号・真智女)。随筆の中にはその後、「ブラジル日系文学」に再録されたものもある。
昨年一月で十六年勤めた熊本県人会を退職したことを機に自費出版した。土田さんはまた、昨年日本で出版された「女たちのブラジル移住史」(六人の共同執筆)でも執筆している。
同句文集には日本での思い出や渡伯後の生活などをつづった随筆三十二本と、「日本は日本はとて日向ぼこ」など、五つの句集にまとめた三百七十句あまりが収録されている。
二百部を印刷し、文学、俳句や県人会の関係者などに贈った。百周年にあわせて出版準備を進めたという土田さんは、「おかげさまで皆さんに喜んでいただけた。区切りがつきました」と嬉しそうに話した。