ニッケイ新聞 2008年10月15日付け
ブラジル三井住友銀行(BSMB、窪田敏朗社長)は同行設立五十周年の記念式典を十三日午後七時半ごろからサンパウロ市内のカーザ・ファザーノで挙行した。日本から訪れた奥正之・三井住友銀行頭取をはじめ、約四百人が出席。奥頭取は「今後さらにみなさまのお役にたてるように」と将来に向けた協力を約束した。
BSMBは一九五八年設立。八〇年代のブラジル経済の混乱を経ながらも、ブラジル進出日系企業の資金面を支え続け、近年ではサンパウロ市地下鉄案件へのシンジケーション・ローンなど各種インフラ事業への大型融資を実行している。
また、地球温暖化防止を目的とした「地球環境ビジネス」をいち早く開始し、〇七年には英国フィナンシャルタイムス紙とIFC(国際金融公社)が共催した「サステナビリティ・バンキング・アワード」で優秀賞(Runner-up)を邦銀として初めて獲得するなど、画期的な活動を展開している。
式典ではまず奥頭取が、BSMBは三十一カ国五十拠点ある中で最も古く、伯経済と共に歩んできたことに触れ、「現在まで平坦な道のりではなく、山あり、谷ありだった」と五十年の歴史を振り返った。さらに、各国経済が世界的な金融危機に直面している中、伯の時代が来ていると強調し、「今後みなさまの活動に役立つ仕事をしていきたい」とのあいさつで締めくくった。
続いてあいさつに立った窪田社長は、日本移民百周年の年に設立五十周年を迎えられたことに喜びを表しながら「五十年間みなさまからいただいた支援を忘れずにしたい」と謝辞を述べ、「ブラジルが世界経済の中で重要度を示しつつある中で、当行は日伯の掛け橋になっていきたい」と力強く話した。
来賓代表の西林万寿夫在聖総領に続き、レナート・カンポス・ソアレス在ベロ・オリゾンテ日本国総領事館名誉総領事(元USIMINAS社長)が五十周年に祝辞を寄せ、乾杯の音頭を取った。参加者たちはボサノヴァを聞きながら歓談を楽しんだ。
□ □
式典当日の午後、奥頭取は文協ビル内のブラジル日本移民史料館を訪問した。栗原猛運営委員長の案内を受けながら日系コロニアの百年の歴史に触れた。
展示されている初期移民の住居や設備など大変興味深そうに見学し、栗原委員長に様々な質問をしていた。
今回初めて来伯した奥頭取は、七階から九階まで全て見学を終え、「歴史が順序立てて説明されており、百年の長さを感じた」と感想を述べた。また、「次の百年に向けて、ブラジルの資源力に日本は関わっていくべきで、お客様に喜んでもらうようにしたい」と語った。