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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年10月15日付け

 「とりあえず、最悪の時期は脱した」。十三日、世界の金融市場を固唾を飲んで見守っていた専門家の中には、そんな感想を持った人もいた。先週一週間でブラジル経済六つ分の価値が、世界の金融市場から消滅した。週末のG20会議などを受け、月曜の市場は世界で空前の上げを記録した▼だが、これで元に戻るわけでない。ジェットコースターのような乱高下がとりあえず収まるとの話だ。先進国の多くはゼロ成長、場合によってはマイナス成長といわれ、長い不況期に沈むとの意見もある。特に米国は来年いっぱいサブプライムの不良債権が次々に現れ、予断を許さないとも。その後、徐々に回復軌道に入るというのが一般論のようだ▼今後の世界経済の成長を支えると期待されているのが、BRICsなどの新興国勢力だ。ただし、サブプライム関連商品がないにも関わらず、先週のサンパウロ市証券市場は暴落した▼身近なところでは、ブラジルでも住宅ローンや農業融資の金利が上がっており、金融機関から融資を受ける条件が悪化した。運転資金を借り替えして回転させている会社は資金繰りが大変になるという。ローンやクレジット、融資の前に条件を再確認した方がいい。ドルが上昇した関係で輸入品物価も上がっている。当然、日本からの食材や商品などの輸入品も上がる▼日本が不況になってデカセギ求人が激減したとの報道も。先進国で働くブラジル人の送金が減ることが、ブラジル経済に及ぼす影響もある。もし彼らが大挙して帰伯すれば失業率が上がる。治安にも関係するかもしれない。金融危機の本当の影響はこれから現れる。不安に包まれたXマス商戦になりそうだ。(深)