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マンテガ財務相=「ブラジル版サブプライムではない」=経済システムは健全=金融派生商品損失に言及=〃水源〃枯渇で資金難

ニッケイ新聞 2008年10月14日付け

 国際通貨基金(IMF)の定期総会に出席したマンテガ財務相は十二日、金融危機の世界への影響について「途上国にも情け容赦なく襲いかかる。その影響をまともに被るのは一般庶民だ」と表明したと十三日付けエスタード紙が報じた。金融派生商品で大損を生じたブラジル企業もでたが、経済システム自体には大きな悪影響はないとの見方を示した。いつ金融システムが正常化するのかが、最大の関心事のようだ。
 米金融危機は、金融混乱の津波となって世界の最貧国を襲う。「これは食料や運賃の値上げとなって襲うので、被害を受けるのは庶民階級だ」と財務相はいう。ブラジルはボウサ・ファミリアなどで格差が縮小しているが、世銀は最貧国への支援を強化すべきだと主張した。
 記者会見に臨んだ財務相は、次のようにブラジル経済の見通しを述べた。
 アラクルス、ボトランチンなどが行なった金融派生商品の先物取引総額は五百八十億レアルといわれる。決済時期に差があるため、損失額はまだ確定していないが、同財務相は「これはブラジル版サブプライムではない」と強調する。為替変動による損失であり、これらの企業の経営内容自体は充実しており、金融市場が正常化すればいずれ容易に回復できる損害だ、という。「金融システムや産業経済がそれで病むことはない」と語った。
 ブラジルの金融市場で流通量が枯渇しているのは、国際金融の〃水源〃が干上がったため。政府の懸念は、いつまで続くか分からない金融混乱のために予算計画が立てられないことと説明した。
 ブラジルと米国の危機が異なる点は、米国の金融ルールが不備であったこと。米五大投資銀行が経営難に陥ったのは、資産の四十倍もの債務を抱えたこと。一歩間違えれば、まるで保障がなく無謀であった。
 ブラジルの金融システムは石橋式で、最高十倍を上限としている。それに引き換え、米国では投資銀行が大量の不良債権を抱え、金融市場へ病原菌を流していた。結果として米金融市場が冒されたのだ。その点、ブラジルは健全といえる。
 米金融危機が、ブラジル経済を損なうことはない。ただ川上で水枯れしたので、川下に水が流れてこないだけ。そのため政府は、非常用水を注いで急場を凌いでいる。正常に水が流れれば、全ては解決する。