ニッケイ新聞 2008年10月14日付け
先月、元戦後移民で、静岡県静岡市在住の谷川克己さん(不動産会社経営)が十八年ぶりにブラジルを訪れ、援協に三千ドルをこっそりと寄付していった。
援協関係者によれば、谷川さんは力行会を通じて移住。コチア組合で働き、タクシー運転手をしていたという。六七年に帰国。日本での事業がうまくいったため、ブラジルには戻らなかった。
滞在中、ブラジル各地に散らばる移住者の自宅に呼ばれ、宿泊含めて大変世話になったという。寄付はそのお礼と感謝の気持ちからだった。
「相互扶助の精神が強いコロニアでも、最近は寄付する人も少なくなっている。移民百周年で多くの要人が訪伯したが、こうした寄付をした人は少ない」と、その援協関係者は称える。受けた恩を社会のために還元する。元移住者とは言え、奇特な人とはこういう人を言うのだろう。(泰)