ニッケイ新聞 2008年10月4日付け
英誌「エコノミスト」が、ブラジルや中南米諸国は過去数年、大きく経済は発展し成長をとげたが、不快な経済政策の変更を余儀なくされるとした論評を三日付けエスタード紙が報じた。
同誌では、ブラジルは想像以上にクレジットの対米依存が大きく、財政リスクを負っているとして、信用危機の影響を次のように分析している。
ブラジルを初め中南米に与えた米金融危機の影響は、サンパウロ市証券取引所(ボベスパ)の株価指数を見れば明白だ。米下院が金融救済案を否決した九月二十九日、ボベスパの下落幅は世界の証券市場中最大で、ダウ・ジョーンズには七%の衝撃で留まった同案の否決で、ボベスパは九%も暴落。資本市場の機能を多大に損ねた。企業の資金調達の場として今後、期待に応えるまで時間がかかる。
それでもブラジルやメキシコ、ペルーは、危機に備えた経済の基礎条件が揃っており、国際経済研究所も「ブラジルは銀行システムが充実しているから、金融機関がサブプライムに汚染されず、振り回されなかった」と評価している。
またブラジルの銀行が、国際金融クレジットに余り依存していないことも幸いであった。クレジット不足が、ブラジル経済に問題をもたらすのは輸出だ。クレジット不足が長期にわたるなら、金融機関は自国の顧客を優先し、ブラジルなど中南米の顧客を後回しにするのが心配。
もう一つ、ブラジルで心配なのは、コモディティ価格。中南米諸国は、同市場の相場高騰で潤った。コモディティ景気に乗り損ねたのは、アルゼンチンとベネズエラ、エクアドルだ。
ブラジルは中南米での経済大国であるが、コモディティが輸出の五〇%を占めることは、コモディティ不況になると経済が不安定になることを意味している。