ニッケイ新聞 2008年10月2日付け
ルーラ大統領は九月三十日、マナウス市にベネズエラのチャベス大統領とボリビアのモラレス大統領、エクアドルのコレア大統領を迎え、左翼政権の四首脳会談を行ったと十月一日付けエスタード紙が報じた。
ルーラ大統領の和解工作に関わらず、コレア大統領によるゼネコンのオデブレヒト追放の意向に翻意はなかった。同大統領は会談後の記者会見で、同ゼネコンはエクアドルで恫喝や賄賂が通用すると思って国家主権を蔑ろにした、と訴えた。
同大統領の振る舞いは、ブラジルの外交的配慮を無視したような態度であった。エクアドルは、憲法改正に関する国民投票で大統領の権限拡大が承認された。
同大統領は九月二十三日、ゼネコンの資産差し押さえ仮処分を決定した。理由は同ゼネコンが建設した水力発電所が、建造ミスにより同国へ損害を与え、賠償に応じなかったからという。
エクアドル政府の言い分では、発電所は三倍の水増し予算を投じ、発電能力は三分の一に留まったという。同政府は軍隊を派遣して発電所を占拠し、ゼネコンの幹部職員四人を拘束した。
同ゼネコンは、エクアドルで二十三年間の営業実績がある。コレア大統領は、同ゼネコンに四千三百万ドルの損害賠償と発電停止で一日当たり二十万ドルの罰金を要求。しかし、同ゼネコンがコレア政権も前政権も同じと思って、たかをくくっていると憤慨した。
エクアドルの新聞によれば、オデブレヒトが他の公共工事四件を継続することで賠償要求に応じる意向と報道。コレア大統領は、賠償受諾が他の工事継続を保障するものではないとし、同ゼネコン追放に執心らしい。
ルーラ大統領は、ブラジルとエクアドルは相互に補完関係にあり、発電所は大問題ではないという。チャベス大統領は、ベネズエラのクーデターでオデブレヒトの社長、ドン・エミリオに助けられた経緯があり、偉大な人物だと擁護した。