ニッケイ新聞 2008年10月1日付け
七月に減った法定アマゾンの森林伐採が、八月には七月比一三四%増、前年同月比二二九%増の七五六・七平方キロメートルに達した上、伐採上位に国立植民農地改革院(Incra)プロジェクト八件が含まれていることなどを、九月三十日伯字紙が報じた。
四月の一一二四平方キロから、五月一〇九六平方キロ、六月八七〇平方キロ、七月三二三平方キロと減少を続けたアマゾンの森林伐採面積が、八月に七五六・七平方キロに激増は衝撃的な報告だが、今回は、パラー州四三五・二七平方キロ、マット・グロッソ州(MT)二二九・一七平方キロが目立つ。雲が二四%を覆っていたパラー州の伐採面積はもっと多い可能性もある。
また、環境省が驚いたのは、伐採上位一〇〇件の八件がMTで展開中のIncraの農民定着プロジェクトだったこと。一~六位独占のIncraプロジェクトの伐採面積は二二三三・五七平方キロ。上位一〇件で二六六六平方キロ、上位一〇〇件で五二二五平方キロと比べ、Incraの占める比重は大きい。
一方、八月の森林伐採が前年同月比二二九%増ということは、二〇〇七年八月の三倍以上の伐採が行なわれたということ。マリーナ前環境相も選挙年は伐採が多いと懸念していたが、ミンク環境相も選挙年のせいと説明。一方、パラー州知事は、八月の伐採増加は、雲で隠れていた部分が今回の数字に盛り込まれたことや乾期であったことが原因と弁明。
地球温暖化対策の一環として世界が注目し、ノルウェーからの資金を含む保護・保全基金も発足した法定アマゾンの森林伐採削減対策。二十九日には、関係省庁担当者による環境政策委員会や三〇〇〇人規模の国家環境犯罪対策軍創設、州政府との協力による森林伐採予防・取締り計画作成などを含む一二の対策案も発表されたが、二億六五五〇万レアルもの罰金を請求されたIncraプロジェクトを、環境に優しい持続可能な計画に変更する必要もある。
九月二十六日伯字紙報道の地球温暖化対策案叩き台は法定アマゾンの森林伐採削減目標値を含まないが、伐採防止目的の火の弓作戦にも疲れが見え始める中、製材業者や農家、政治家の癒着切り崩しと森林伐採減少への明確な計画、継続した行動が求められている。