ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ドーハ・ラウンド=印代表「ブラジルは裏切った」=エタノール・ラウンドに化る

ドーハ・ラウンド=印代表「ブラジルは裏切った」=エタノール・ラウンドに化る

ニッケイ新聞 2008年9月27日付け

 インド政府は二十五日、「ブラジルがWTO(世界貿易機関)のドーハ・ラウンド(多国間交渉)における立場を売り物にしている」とする書簡をレミー専務理事に送ったと二十六日付けエスタード紙が報じた。
 書簡は、ナース・インド通産相の名前で送られた。ブラジルは、目玉商品のエタノールを欧米に売り込むため、ドーハ・ラウンド合意を交換条件にしたという。
 アモリン外相が七月、WTOの市場開放案を容認し欧米も賛意の意向を示して以来、伯印関係は冷え込んだ。
 ナース通産相は、貧しい農民の味方としてインドで英雄のように迎えられた。インドでは、ブラジルが独自に欧米へ接近し、途上国連合を裏切ったというのだ。
 ドーハ・ラウンドは十五日に再開され、再度物別れで終わった。インドが、農産物輸入に際しての、インドの貧農保護を要求したからだ。
 二十五日のインド書簡は、セーフガード方式(緊急輸入制限)を容認するなら、年末までにWTO案に合意の意向という。それがないなら、WTO案は拒否とした。
 ブラジル外務省は、狼狽した。インドは、ブラジルのエタノールが途上国の利益を疎外したというのだ。途上国から先進国への農産物輸出は協議不十分で、ブラジル案はドーハ・ラウンドの本質から外れていると、ナース通産相は訴えた。
 一方、ブラジルからEUへのエタノール輸出は十年間、百四十万トンまたは消費量に応じたインデックス方式で交渉が詰めを迎えている。とどのつまりエタノールの成否が、ドーハ・ラウンド合意にかかっていることで、WTOもやりきれなさを認めた。