ニッケイ新聞 2008年9月26日付け
ブラジル地理統計院(IBGE)は二十四日、共稼ぎで子供のいない夫婦が急増し、所得格差を縮小していると発表したことを二十五日付けエスタード紙が報じた。
夫婦共稼ぎは一九九七年、二・四%の九十九万七千組であった。それが二〇〇七年は、三・四%の百九十四万二千組となった。共稼ぎが多いのは、中央西部の四・二七%。少ないのは、北東部の二・九九%となっている。
共稼ぎが集中している年齢層は、三十五歳から四十四歳。子供のいない夫婦共稼ぎは、工業化社会で一般化した。女性の考え方が、子育てよりプロ化志望へ変化しつつある。男性も、子供よりビジネスと夫婦生活、それに趣味を優先するタイプが増えている。
子供の出現は、夫婦の生活を大きく変える。子供の養育に時間を取られ、自分の人生計画が犠牲になる。子供の養育は、夫婦の共同責任にしないと隙間風が吹く。自分の計画が中途半端なまま、中年になる。
生活に経済的余裕ができると、価値観の変化が起きる。世界観や歴史観も変わる。先進国の生活様式に関心を抱く。個人の人権を意識する。自己啓発に金を注ぎ、子供の養育など忘れる。
子供の有無で生活スタイルは異なる。子供の誕生を意識すると、生活はつつましくなり教育資金を貯める。それがないと、食べるものや身に付けるものが贅沢になる。贅沢が習慣になると、引き戻れなくなる。
もはや、子供のいない夫婦共稼ぎは生活スタイルとして増加の傾向があるらしい。この生活スタイルが、所得向上による環境の変化や夫婦の独立自尊意識、高齢期出産、性概念の変化の原因になっているようだ。