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三菱がUSP向け奨学金設立=来年から訪日留学支援=「次の百年に向け援助を」

ニッケイ新聞 2008年9月25日付け

 ブラジル日本移民百周年(日伯交流年)を記念して、日伯の三菱系企業十五社が、USP(サンパウロ大学)向けの奨学金制度を創設した。同運用に向けて今年四月三日、サンパウロに菱友会協会(りょうゆうかいきょうかい、佐々木修理事長=三菱商事(株)中南米CRO)を設立。同制度に関する覚書への署名式が、二十四日午前十一時からUSP内のレイトリア会場で行われた。佐々木理事長は「次の百年に向けてしっかりと支援してきたい」と力強く話した。
 覚書の署名式には、同協会のメンバーの代表者たちやUSPのフランコ・マリア・ラジョロ副学長など約四十人が出席した。
 最初にあいさつに立った佐々木理事長は、百周年を記念して同協会を設立したことを説明。「ブラジルから日本に留学する学生は少ないので、日本で勉強してブラジルの役に立ってほしい」と期待を込め、「環境問題など世界的な問題があり、これからの百年に向けてしっかりと援助していきたい」と締めくくった。
 続いてラジョロ副学長は、奨学金制度の創立に感謝するとともに、「日本人のおかげでブラジルは、経済が発展し、技術改革に大きな影響を与えた」と喜び、「グローバリゼーションの中でとても重要な事業。両国で協力して日伯の友好に繋げていきたい」とあいさつした。
 それぞれの覚書に署名し終えた後、お互いに固い握手を交わして、署名式は無事終了した。
 同協会には、在ブラジル三菱系企業十一社及び日本の三菱系企業四社が参加している。
 同制度は、同協会がブラジルに総額五千万円超の基金を設立し、同運用益によりUSPから日本への留学生に奨学金を支援するもの。
 USPでは従来から日本を含む国外の大学へ留学生を派遣しているが、距離や費用の問題から実際に日本へ留学する機会は限定されていた。そのため今後、同協会が日伯の掛け橋となり年間二人程度の留学生を継続的に派遣する計画。
 今回の覚書により、二〇〇九年度からの留学開始を目標にしている。留学生の選考はUSPが行い、USPと提携を結んでいる日本の大学に送り、同協会の奨学金を支援する形になっている。
 同協会のメンバーは次の通り。
 ブラジル三菱商事会社、ブラジル東京三菱UFJ銀行、CBC重工業、ブラジル三菱重工業有限会社、ブラジルメタワン、メルコテック、三菱マテリアル、ブラジル東京海上保険株式会社、郵船エア航空、東山農産加工有限会社、MEAB、東京海上日動火災保険、日本郵船株式会社、持株会社ミレアホールディング、株式会社メラルワン。