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国境の町で15人殺される=麻薬や銃など密輸の中継点=密売者の借金取り立てで

ニッケイ新聞 2008年9月24日付け

 パラナ川をはさんでパラグアイと国境を接するパラナ州グアイーラで二十二日午後、パラグアイからの密売者によると見られる一五人の大量殺人事件が起きた。
 二十三日伯字紙によれば、一五人もの殺害は州始まって以来。パラナ川を渡って来た一味(エスタード紙は三人、フォーリャ紙は最低五人と報道)は、密売者(通称ポラッコ)の小農園に直行。ポラッコと小農園に居た人たちを取り押さえ、仲間を一人ずつ呼び出させた上で捕まえてはベランダに連行。生き残りの八人の証言によれば、一味の頭は、一人捕まえる度に「誰が借金を払うんだ」と訊いていたという。
 逃げ出そうとした者はその場で撃たれ、ベランダに連れて行かれた者は一列に跪かされた上、一斉射撃。家の中にも女性二人の遺体があった。助かった者たちは死んだふりをし、難を逃れた。
 警察では、犯罪後の一味は再び川を渡ってパラグアイに入国したと見ており、パラグアイ警察にも協力を要請。四〇〇〇レアルの借金が原因の大量殺人らしい。
 グアイーラ市は、フォス・ド・イグアス地区、特に友情の橋での密輸入監査厳格化以来、麻薬や銃器、物品の国際的密輸ルートとして人や物が動き始めた町で、パラグアイとの国境の他、南マット・グロッソ州とも境を接する。地域の物流は、二〇〇七年のコカイン一〇五七キロ、クラッキ一二〇万個、大麻一〇万四八〇キロ押収に対し、二〇〇八年は八月までに、コカイン六二六キロ、クラッキ一三〇万個、大麻七万六二〇〇キロを押収など、年毎に増加している。
 麻薬や各種商品の密輸基地の一つとなった同市では、都市第一コマンド(PCC)やコマンド・ベルメーリョ(CV)を含む密売者同士の抗争事件が多く、銃器による殺人被害は人口一〇万人当り九七・六人と全伯一。青年死亡率五位、暴力事件発生率七位ともいう。
 四月の連邦警察による作戦では軍警三五人、市警九人を含む四七人を煙草密輸で逮捕など、銃器や麻薬、海賊版商品も含めた摘発も頻発の同市。警察では、二月と今月十九日に起きたウムアラマ市での判事襲撃事件との関連も含めて捜査を継続するというが、人や物の動きに対し、この地域の警察力補強は不充分であることも密売者たちの暗躍を許しているという。