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BNDES総裁=公共銀行融資は暫定措置=公的資金導入に批判続々=減速しても経済成長続く=軍政の二の舞指摘する声も

ニッケイ新聞 2008年9月23日付け

 ルーラ大統領は二十一日、第六十三回国連総会への出席に先立ち、世界の資本市場を席捲した金融危機を投機家の無責任な供宴の結果だと訴える意向と二十二日付けエスタード紙が報じた。この際、無秩序な国際経済システムを矯正するためグローバル・レベルで政治行動を起こすことを提案するという。ルーラ大統領は、引き揚げた外資の代わりに公共投資で融資する発言に対し、金融政策の保守派から「軍政時代を髣髴とさせる」などと批判が相次いでいる。
 米発金融危機は、世界の金融市場を襲いカオス状態に陥れた。混乱は、新しいシステムを構築するチャンスと大統領は見ている。ルーラ大統領は二十四日、中国やインド、オーストラリアを交えた準備会議に臨む。
 無秩序な国際経済システムとは、ドーハ・ラウンドを座礁させた先進国優先の通商システム。金融危機がもたらしかねない新たな危機は、食糧とエネルギー。これらが、一度に襲ってくる。大統領にとって危機は、まだある。環境と難民だ。
 ブラジル国内では、金融危機が保守派と革新派の間で経済のジレンマになっている。国際金融の流通量枯渇に対し、大統領はBNDES(社会開発銀行)とその他国立銀行の融資拡大と活性化で対処する考えのようだ。
 それに対し、保守派陣営が反発している。「これはガイゼル軍事政権が歩いた道だ」とベニー・パルネス元中銀理事が指摘する。当時第二次オイル・ショックで経済は停滞、そこへ襲ったハイパー・インフレが二十年間にわたって、ブラジル経済を苦しめたことは熟知するところだ。
 イラン・ゴルドファン元中銀理事も「国際金融危機に国庫を開けて対処するのは、自滅行為だ」と批判的だ。
 世界の減速経済に合わせ、国内も経済成長率を落すらしい。
 コモディティの下落で、国家財政の経常収支楽観は禁物。現在の外貨収支赤字は、投機マネーの流動性が原因ではなく、多国籍企業の直接投資が、本社利益を補填するために引き揚げられたことに起因している。
 公立銀行が国際的な流通量枯渇を補うため融資を行うのは、暫定措置に過ぎないとの論が強い。「現行の六%維持は無理でも、四・五%程度を保持できたら、転んで三%へ落すよりよい」と総裁は述べた。