ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 所得向上で社会格差減少=全体の底上げには程遠い=改善必要な未成年者労働

所得向上で社会格差減少=全体の底上げには程遠い=改善必要な未成年者労働

ニッケイ新聞 2008年9月20日付け

 十九日伯字紙報道の全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、〇七年の平均所得は二〇〇六年より三・二%向上し九五六レアル、Gini指数も〇・五四一から〇・五二八と改善された。
 〇~一で表わすGini指数は、数字が小さいほど社会格差が小さい。つまり、Gini指数低下は、ブラジルの社会格差改善を示唆するが、それでもこの数字はBrics最低で、中米のエルサルバドルの〇・五二四やパナマの〇・五六一なみ。また、アフリカのジンバブエ〇・五〇一などと比較しても格差が大きい。
 一方、所得向上も地域差があり、〇六年に一一四五レアルだった南東部は一〇四四レアル、七九四レアルだった北部が七八四レアルに減少。一方、中西部は九五五が一〇五八レアル、南部は八八三が九三六レアル、北東部は四四六が四九三レアルに向上した。
 所得向上の背景には、景気好調を反映した雇用(とりわけ正規雇用)増加がある。正規雇用増加は所得向上とともに、購買力向上にもつながる。具体的には、フォゴンや冷蔵庫、テレビ所有は九〇%他、洗濯機四〇%、コンピューター二〇%などの家電製品所有率や、乗用車や携帯電話所有者増加などが挙げられる。ローン利用も、ある程度の期間は収入があるとの安心感の現れだ。
 一方、北東部は一五歳以上の文盲率が一九・九%(全国平均一〇%)と際立って高い。これは北東部での過去の就学率が低かったことの反映。低学歴や文盲率の高さが高収入の職を遠ざけているといえる。
 北東部でもう一つ気掛りなのは未成年者の労働で、五~一七歳の労働者四八〇万人中、北東部は一三・四%を占める。比率だけなら南部の方が若干高いが、北東部は住み込みなど家庭内労働が多く、無報酬か低賃金。未成年者全体では、四四・九%が無報酬。住み込みで〇~一最低賃金は七一・七%。平均報酬は二二〇が二四六レアルと若干改善されたが、十九日既報の未成年者就労規制後の動向も注目される。
 一五歳以下で二四〇万人、一七歳以下では四八〇万人という未成年労働者の実態は、家庭崩壊、学業放棄などの問題とも関連するが、女性の出生率が一・九五人に落ち、人口減少への道を歩み始めているブラジル。未成年者の一〇・六%を占める労働実態改善は、基礎教育の充実とともに国の将来に関わる問題だ。