ニッケイ新聞 2008年9月19日付け
財団法人豊田市国際交流協会(豊田彬子理事長)が実施する「日本ブラジル交流年記念青少年育成プログラム」で同市から九人の青年が来伯、約十日間にわたって国内各地を訪れ交流を深めた。
同協会は一九八八年十月の創立以来、諸外国との相互理解と友好親善、地域の交流活動など幅広い活動を行っている。
百周年の今年六月には同市内で、日本人とブラジル人が相互理解を深める記念交流イベント「ビバ! ブラジルデー! 」を開催。そしてこのほど、多くの若者に肌でブラジルを感じてもらおうと同交流プログラムが実施された。
一行は、八月三十一日に日本を出発し、リオ、クリチーバ、サンパウロを訪問。滞在中は、地域の学校などを訪れたり、愛知県人会の会員宅などにホームステイを行ったりして交流を深めた。
最終日の十一日には、サンパウロ市の愛知県人会館で、関係者を交えてお別れ会が行われた。豊田瑠美県人会長は同プログラムに関わったことを喜び、「皆さんと歓談できることが嬉しい」と話した。その後、参加者一同で昼食懇談会が行われた。
仕事の関係でブラジルを訪れていた豊田彬子理事長も歓迎会に参加し、「百周年を記念したこの時期に、若い人たちが実際のブラジルを見て、二週間勉強した。今回の経験が将来の多文化共生社会の基礎になれば」と期待を表した。
豊田市で在住ブラジル人に日本語を教えている土井佳彦さん(29)は「なぜ、在日ブラジル人の教育に対してブラジル政府の支援が十分に行なわれないのか不思議に感じていたが、今回の旅で、国内でも教育が行き届いていない現状を知ることができた」と満足した表情を浮かべ、「色々な国の人たちが住んでいるところで、うまく多文化共生しなければならない。ブラジル、日本にとっても、今はチャレンジの時期」と感想を述べた。
同市内の保見中学校で体育教師をしている仲野吉彦さん(28)は「生徒の中にブラジル国籍者が徐々に増えてきたから、実際にブラジルを見たくて参加した」と理由を話し、「貧富の差を感じたけれど、子供たちの表情が非常に明るかった。今回の滞在を何かの糧にできれば」と希望を語った。
財団法人あすてでボランティアをしている山下浩史さん(23)は「勉強より触れ合いを大事にするつもりで参加した。今回の滞在で感じたことを仕事に持って帰って、違った表情で接していきたい」と充実した滞在を振り返った。
今回の訪問団員は次の通り(敬称略)。今井優作、上野明日香、内田あけ美、浦野貴之、白倉きみ、田上佐千子、土井佳彦、仲野良彦、山下浩史。