ニッケイ新聞 2008年9月18日付け
Unasul会議は、ルーラ大統領が、多くの舞台を踏んだリーダーとして議事進行を図った。十五日は、野党との対話を拒むモラエス大統領に野党四県知事の同席を説得。同会議は、野党側決起はボリビア政府に対するクーデターとの位置付けは認めないとした。
モラレス大統領が民主的に選ばれた正当代表であることは否定しようがないが、正当代表であることは、武力をもって国民を制圧することを正当化する理由にはならないと、ルーラ大統領は説得した。
会議の焦点は、パンド県で起きた農民十八人の殺害事件であった。同会議ではチリ外相ジョアン・ガブリエル氏を委員長とする調査委員会を組織し、同事件の真相解明を行うことを提言した。
同大統領が政府措置の合法性を強調したのに対し、ルーラ大統領は行動に入る前に野党との対話を持つべきであったと諌めた。法治国家には、対話が必須だと諭したのだ。合法性を強調するのは、選挙と秩序を保つための憲法だけだという。
同会議は、問題解決のために米州機構(OAS)の手を煩わすことを断念。これは、米国の介入を招く恐れがある。モラレス大統領の演説には、しきりとチャベス大統領の名が出て、米国を刺激するからだ。
コロンビアのウリベ大統領とチャベス大統領が、合法性が認められていない不穏分子の制圧に強権政治もやむを得ないと述べたのに対し、ルーラ大統領が現実的な解決法は、会って話してみることという。
ボリビアは、資源採掘設備の国有化も、力の論理で合法化した。同じ手法で野党を制圧し、反抗するとクーデターと呼ぶのは非論理的だ。ブラジル政府が、ボリビアの内紛解決は野党との対話が先決であると宣告。対話に失敗して内紛が悪化するなら二十五日、ニューヨークで次回会議を行うと通告した。