ニッケイ新聞 2008年9月16日付け
南米諸国連合(Unasul)は十五日、約三十人もの死者を出しているボリビア内紛を協議するために、議長国であるチリ政府の要請により、初めての臨時首脳会議をサンチアゴで行うと十五日付けエスタード紙が報じた。会議は仲介目的ではなく、モラレス政権の擁護らしい。ルーラ大統領は、モラレス大統領から仲介を断られた
ので、話し合いの場ができてからしか会議に出席しないという。昨年創設されたばかりの同連合の存在意義が問われる展開になってきている。
ボリビアのモラレス大統領に対するクーデターは、一九七三年のアジェンデ・チリ政に対するクーデターに類似するとしてバチェレ大統領が、南米十二カ国の首脳に緊急会議を招集した。
外交官筋の話によれば、会議出席をためらっているルーラ大統領の説得に苦労したらしい。大統領は、モラレス大統領から仲介を断られた経緯がある。今回の南米諸国連合がボリビアの問題に、どれほどの政治力があるかは疑問だとしていた。
会議はバチェレ大統領の呼びかけだが、会議準備委員会がルーラ大統領欠席の会議の効果を疑問視している。チリの地元紙は、チリが諸国連合の議長国を努めているが、今回会議は根回し不足らしいという。
バチェレ大統領は首脳会議召集に先立ち、ボリビア問題解決の青写真を持っていない。一方的なモラレス大統領擁護には、無理がありそうだ。ベネズエラのチャベス大統領もモラレス支持の意向を表明した。
会議出席をためらうルーラ大統領の他に、ペルーのガルシア大統領はモラレス大統領からテロリスト呼ばりをされ、憤慨している。それで代理派遣を通告した。
ボリビアの要請があるなら、同会議は問題解決に乗り出す準備があると、大統領が述べた。ボリビア政府と野党の意見も聞かずに一方的に内政問題に介在する権利は誰にもないと、大統領がたしなめた。しかし、モラレス外交は、ルーラ抜きで動き出したらしい。
野党から誰も出席しない首脳会議は、問題解決を目的とするものでなく、単なる一方的な通告らしい。Unasulの決議をOAS(米州機構)へ持って行き、モラレス政権は民主的な方法で国民から選出された正当な政権というお墨付きを貰うらしい。