ニッケイ新聞 2008年9月12日付け
ブラジル地理統計院(IBGE)は十日、〇八年第2四半期の経済成長率(GDP)を六・一%と発表し、ブラジル経済の底力に驚かされたと十一日付けエスタード紙が報じた。GDPを引き上げたのは、長期的展望に賭けた投資の拡大で、昨年同期比一六・二%の伸び。これで今年は、素晴らしいクリスマスを迎えられそうだ。
GDPの伸びは、全ての経済予測を上方修正することになりそうだ。この調子が続けば、二〇〇八年のGDPは六・六%になる。好調経済のけん引となったのは、投資とアグリ・ビジネス。
第2四半期のGDP総額は、七千百六十九億レアル。悲観的憶測を吹き飛ばすニュースだ。GDPには色々な見方があるが、過去一年と昨年同期比の二通りで見ると次のようになる。
先行き見通しは見えず、楽観的予測も許されない国際経済情勢の中での朗報は、意義が深い。中銀の通貨政策は、四月から基本金利を二・五%引き上げ緊迫した環境下にあった。国際経済は政策金利の引き上げを示唆し、生産部門を抑制する矢先の結果なのだ。
GDPの伸びは、年間六・七%で伸びる国内消費に支えられたといえる。これには四つの要因が、後押しした。一は、八・一%の所得向上。三二・九%の消費者ローン拡張。公共経費の五・三%増。それに一六・二%増の投資拡大。
投資は過去4四半期、一四・六%、一六%、一五・二%、一六・二%と確実に伸び続け、固定資本を増やしたことは天晴れだ。これは、生産部門のやる気を示した。
さらに投資の拡大は、将来インフレを招かず需要に応える布石といえる。供給を超える需要を恐れる中銀の通貨政策は、近視的といえる。問題点を指摘するなら、GDPに占める消費の割合が七八%で、投資が僅かなのは不自然だ。
中銀の見方では、需給の綱引きで、需要がやや優勢のため加減したという。さらにGDPの伸びが、ブラジルの生産能力を上回り、持続可能な成長率とはいえない。
ブラジルの生産部門が旧態依然なのは、今年下半期に気付く。二〇〇八年のGDPは、五%程度と発表されるが、それは上半期の結果がもたらしたもの。二〇〇九年のGDPには、ブラジルの実力が表れる。