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特別小切手=207億Rで過去最高=消費生活に赤信号=家計の60%は借金=債務不履行が経済を失速

ニッケイ新聞 2008年9月9日付け

 中央銀行は六日、七月における高利の貸越許容特別小切手の利用額が、二百七億レアルに達し過去最大とする報告書を発表と八日付けエスタード紙が報じた。また先送り式クレジット・カードも七月は百七億レアルに達し、消費者が家計の六〇%をローンにトップリ浸かっていると見ている。これは借金の限度を超えたというのだ。
 クレジットの引き締めが始まったため、消費者は高利にも関わらず特別小切手へ飛びついている。中銀の発表によれば、消費者が預金残高を赤字にし、特別小切手で穴埋めをしている。
 七月の同小切手利用額は、前月比四・五%増、昨年同月比一二・三%増となった。特別小切手の利用は、昨年末から増え始め、七月で過去最大の記録となった。
 特別小切手よりは、やや低利のクレジット・カードも前月比六%増、前年同月比三三・二%と飛躍した。特別小切手とクレジット・カードを合計すると、ブラジル人家庭は家計の六〇%を借金で賄っている。
 これは憂慮すべき現象と、関係者は案じている。各家庭の借金許容限度を超えているからだ。米国ほどではないが、債務不履行で金融経済を乱しかねない。特別小切手は、年利一六二・七%と驚くべき高利なのだ。
 「消費は美徳」の甘い言葉にのせられ、理性を狂わせた消費者がいる。政府も景気に弾みをつけるため、クレジットの手綱を緩めた。それで多くの消費者が、借金の限度を見誤った。
 無分別な消費過熱はインフレを招き、自分の首を絞める。生活費が足りなければ特別小切手へと走る安易な考えが、消費者を蟻地獄へ誘う。特別小切手は、銀行の落とし穴であり悪魔の囁きだ。
 明日は予期しないことが起きる。商売道具の自動車が、動かない。政府が長期ローンを開いたために、多くの人が身分不相応な新車に飛びついた。甘えの構造は、早晩ツケを払わされる。
 金融引締めは、誰にも予想できたこと。基本金利の引き上げと融資期限の短縮は、資金調達の困難化と資金コストの上昇を意味している。
 先送りクレジット・カードとは、期限に債務を決済できないとき残高を先送りすることで、金利は年利一〇〇%以上になる。特別小切手と先送りクレジット・カードの増加、さらにこれに伴う債務不履行は、経済を失速させる。