ニッケイ新聞 2008年9月5日付け
八月二十九日既報のグアルーリョスの連続強姦・殺人犯は「グアルーリョスのマニアコ」の異名で知られ、捜査も進んでいるが、本人の自供によって殺人容疑が晴れた三人の青年が三日午後、自由の身とされた。
三青年が逮捕されたのは、二〇〇六年八月。交際相手の女性から子どもの養育費を請求された青年が、女性を脅すため、いとこと友人を呼んで女性と会い、暴行の上、殺害したとされていた。
マニアコの自供が本当ならば、二年以上も無実の罪で拘留されていたことになるが、四日伯字紙には、解放の喜びに浸る三人や家族の様子とともに、拷問や無実への疑問、更にマニアコの捜査についてが報じられた。
家族や報道関係者が待ち構える中、三人が姿を現すと、人の波は一斉に動き、声をあげての抱擁、肩に身を寄せて泣くなど、様々な反応。被害者の母親は、今も三人が犯人だと信じて疑わないが、父親は「罪を決めるのは自分たちのするべきことではない」とし、二年間を牢で過ごした青年たちを気遣った。
一方、三人を担当する弁護士は、拷問の事実、失った時間など、州政府を訴える構えを見せ、セーラ州知事も、事実の確認と賠償について、三日朝、担当者に指示を出したという。
警官による拷問は、暴行の他、ビニール袋をかぶせて窒息させようとした、マスタード・ガスを浴びせたなど。拷問については口止めされた三人は、その後供述書への署名を強要されたという。
三人は二年間の刑務所生活を「地獄」と表現しているが、ブラジルの刑務所のあり方や警官による拷問は、〇七年に一四歳の少女が男性と同じ房に入れられ、性行為を強要された件なども含め、世界的にも人権問題として注目されている。
三人の無実には、青年の一人が所有する車と似た特徴の車の中で「脅すため」との会話があったとの証言があるなど、母親や判事の中にも疑問が残る一方、マニアコが現場まで行き、詳細を語ったという事実もある。
担当捜査官が一九九八年のサンパウロ市での「公園のマニアコ」以上の事件だという今回の事件では、マニアコは三日までに女性一四人、男性四人の殺害を自供し、七件が確認済み。公園のマニアコ事件では一〇人の青年が無実と認定された。