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大統領、情報部幹部を一時離任=連警との確執が原因か=一人歩きをする下部機関=政府関与事件は迷宮入り

ニッケイ新聞 2008年9月3日付け

 【既報関連】ルーラ大統領は九月一日、最高裁長官の電話に盗聴機器を設置した疑惑で、ラセルダ長官を始めとするAbin(国家情報部)幹部を一時離任させたと二日付けエスタード紙が報じた。大統領は同長官の事件関与を否んだが、連邦警察の捜査が終わるまでの暫定措置とした。同事件は、最高裁とダンタス頭取を巻き込んだ連警とAbinの確執らしい。
 事件の背後に連邦警察とAbinの権力闘争があり、Abin長官一時離任は過剰反応だという説がある一方、同長官は無実が証明されても復職できないという見方もある。内部闘争の原因は、同長官が多くの連警幹部の中から、サチアグラハ作戦の最高責任者に抜擢されたことに始まる。
 プラナウト宮で一日、大統領と最高裁長官、ジョビン国防相、Abinを管轄するフェリックス将軍、上下両院議長、その他の会議が行われた。最高裁長官は、連警の事件解明ではなく大統領の即時対応を求めた。
 大統領は、議会へ「盗聴防止法」の即時審議を求めた。法務省に対して、盗聴に関する「行政責任と処罰」法案の起草を求めた。
 ラセルダAbin前長官は、ルーラ政権を揺さぶった一連の疑獄から大統領を救ったバストス前法相の推薦による人物だ。一時離任とはいえ、泣いて馬しょくを斬るようなもの。ダンタス頭取を刑務所送りにしたサチアグラハ作戦は、最高裁を巻き込んだ複雑な事情が背後にあるらしい。
 現政権では、〇四年のワウドミロ・ジニス、〇七年のズレイド、〇八年のFHC機密費侵入、その他、裏金疑惑、救急車疑惑、コーポレート・カードなど数々の政治事件が迷宮入り。政府関与の事件は連警が解決を故意に保留するらしい。
 盗聴事件を総合すると、プラナウト宮のスパイが各所へ盗聴機器を設置し情報収集を行っていること。憲政制度のお目付が、同制度に抵触している。誰が指揮を採っているのか不明だから、全容が分からない。
 元連警長官のラセルダAbin前長官の知らない所で、誰かが違法盗聴を許可したのだ。その責任者を解明できないなら、政府下部機関は政府上層部から離れて一人歩きをしているのだ。