ニッケイ新聞 2008年9月2日付け
七月十六日本紙に、連続テレビ小説の家族構成が出産数にも影響と報じたが、八月二十九日に、ブラジル地理統計院(IBGE)が、ブラジルの人口増加は約三十年で止まるとの予想を発表した。
八月三十日伯字紙によると、七月一日現在のブラジル総人口は一億八九六一万二八一四人で、年間増加率一・三%。従来は、二〇六二年まで増え続けた人口は、二億六〇〇〇万人に達した後に減少し始めると予想されていたが、今回は、人口減少は二〇四〇年には始まるかも知れず、最大人口も二億二〇〇〇万に届かないだろうと報告。
これらの数値算定には女性一人あたりの出産数が大きく影響するが、一九六〇年には六・三人、一九八四年には三・五人だった出産数は、二〇〇六年には二人に低下。少子化は調査毎に加速化しており、現在のIBGEでは、将来の女性一人あたりの出生率を一・八五人から一・五人に修正して予想をたてている。
少子化は世界的傾向でもあるが、ヨーロッパの女性一人あたりの出産数は一・一~一・二人まで低下しており、健康・福祉行政への直接・間接の影響があるほか、年金問題、労働力不足などの問題も深刻化している。
一方、人口増加と少子化についての報告と並行して発表されたのは、都市別の人口で、国内最大都市であるサンパウロ市は人口一〇九九万人。以下、リオ市(六一六万)、サルバドール(二九五万)、ブラジリア(二五六万)など、上位十位までは州都が占める。また、州都以外の都市では、グアルーリョス(一二八万)、カンピーナス(一〇六万)が一〇〇万を超えた。
また、反対に人口の少ない市は、サンパウロ州のボラ―で八三四人。七〇年代に一二〇〇人を超えた後に過疎化した同市は、二〇〇〇年~〇六年の人口増加も九人だったが、近年はサトウキビの精製所が出来、〇七年の住民数は三〇人増加。季節労働者や車の動きが増え、以前からの住民は「町が騒がしくなった」というが、それでもまだこの町は安心して住めるという。
住民数の増減は国の補助金額にも響くため、調査結果に問題がある場合は申し出るようにと勧告されているが、労働効率や生産性の問題、少子化対策、福祉行政など、将来を見据える視点にも変更が求められている。