ニッケイ新聞 2008年8月30日付け
ルーラ大統領が二十八日、岩塩下油田は国家管理とする意向を表明と二十九日付けエスタード紙が報じた。「当りくじを手に入れたからと気前よく皆にばらまかないため」という。岩塩下油田は、ブラジルの将来を約束するパスポートであり、それは教育に充当すべきであると声明を発表した。
事業家や政治家、投資家を前に大統領は、関係閣僚に天然資源の管理基準変更をよく説明し、納得させたと述べた。ポイントは三つ。一は原油輸出を止め、付加価値をつけて売る。連邦令は、天然資源の用途を教育振興と貧困撲滅に優先するよううたっている。
「岩塩下油田は、ブラジル経済の大発展を期待させるものだが、その前に国民に贅沢をさせて売上金をばらまくつもりはないと理解させる。ブラジルは国内に雄大な石油産業を築き、産油国として製品を売る」と。
二が「天然資源は国家のもの」で、売上金はブラジル国民の福祉のために使う。三が資金運用。宝くじを当てたつもりで、まだ現金を握らないうちに、大判振る舞いをするようなことはしないという。
管理基準の変更議事録は九月末、提出される。政府が岩塩下油田は国家管理とするとの意向は、ブラジルが国家主義へ舵を採るか否かで必ず議論の争点になる。これまで自治体が、石油のロイヤリティを無意味に浪費したからだ。
サンパウロ州工連(Fiesp)のスカフ会長は公開討論の前に、第二ペトロブラスの設立に反対の意向を表明した。アギネリVale社長は、石油法や管理基準の変更が不要であると抗議した。
全工連(CNI)のモンテイロ会長は、公社の民間資本参加に不都合はなく、純政府資本の公社設立は無意味とした。
石油研究院(IBP)のマロキン総裁は、技術的根拠のない時点での国家管理議論は時期尚早であり、不要な混乱を招くだけと警告した。
岩塩下油田の出現で、ブラジルは工業政策が大きく変わりそうだ。社会経済開発銀行(BNDES)のコウチニョ総裁は、岩塩下油田の問題は、開発資金の調達法だという。それには、ブラジル産業のあり方から変革する必要があると提言した。