ニッケイ新聞 2008年8月22日付け
最高裁は二十日、三権における縁故採用を満場一致で禁じる決定を下したと二十一日付けエスタード紙が報じた。同法廷は、全ての国家と地方公務員が親族を管理職や信任職へ起用することを禁じる大要を作成し公布する。これまで縁故採用は就任と情実を混合し、公職を私物視していたとして最高裁は情実採用に終止符を打つ。
縁故採用は、合法性と公平性、品行性、適応性の四点で連邦令に抵触するという。直接採用も間接採用も同様。縁故採用の不合理は自明の理であり、敢えてそれを禁じる法令の上程は不要と最高裁は見ている。
公務員試験を経ない親族の採用は、連邦令の公平性に違反する。さらに交換縁故の是非について最高裁は審理を行う。自分の息子を採用しない代わりに血縁関係のない判事の息子を採用し、返礼として自分の息子を判事の下へ入れてもらう。
縁故とは、第三親等までを差す。別の法令では、縁故とは第二親等までと明示している。最高裁は縁故採用の禁止令を上程しないので疑問の場合は、最高裁へ申し出るよう指示した。地方自治体には、同決定に抵触する例が多数ある。
その場に居わせた従兄弟を臨時の運転手に採用した場合、公職赴任と見なさない。期間限定契約のない取り込み中の臨時採用は、最高裁がその扱いを協議する。
縁故採用の是非については、長い攻防戦がある。同令は遥か以前、制定されながら反故にされてきた。今ようやく最高裁が腰を上げたが、これで未資格公務員の採用に断が下るか期待するところ。公職が政治の道具となり、大安売りが続く限り、ブラジルの悪い習慣は続く。
公務員職とは、同人クラブのようなもの。出世した者が、分け前を配る。木の上に巣を作った鳥のように、親鳥が持ってくるエサに、雛鳥が飛びつくのと同じ。
縁故に似た閨閥もある。閨閥抜きにブラジルの役職維持は、困難らしい。閨閥主義は帝政時代から培われ、グループの利益を守るために仕組まれたシステムだ。
ブラジルの政治機構はもちろん、国民の社会生活に至るまで代理父制度は生きている。血のつながりのない閨閥主義は、縁故に代わる生活の知恵だが、交換縁故という抜け道をどうするか。