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岩塩下石油開発=ノルウェー方式が有力=獲らぬ狸の皮算用=開発資金調達の目処なし=かけ声だけの産油国計画

ニッケイ新聞 2008年8月21日付け

 岩塩下油田の開発基準を協議する関係閣僚会議は十九日、十二カ国の方式を検討した結果、ノルウェー方式が有力視されたと二十日付けエスタード紙が報じた。同国は国内資本の公社を設立し、直接試掘は行わず開発企業に資本参加を行い、産物を配分するというもの。岩塩下油田は、エスピリトサント州からサンタカタリナ州の大陸棚に広がる大油田だ。
 原油の開発方式は、大別して四つある。一、許可付与。二、産物配分。三、発注方式。四、混合方式など。ノルウェー方式は、合弁企業との契約から生産物の配分全額を国家基金へ納入。同資金の一部は、社会保障制度の年金に使う。
 ノルウェーでは同資金を、国外で金融商品に投資している。同国はそこから、配当金のみを政府経費に充当。国内経済への運用は、同基金の四%を限度とする。基金の残高は現在、三千九百六十五億ドルもある。
 まだ、ノルウェー方式に決定ではない。丸写しもないが、改良型を検討中。既に多くの国が、石油資金による国家基金創設や国際金融への信託を行っている。ルーラ大統領は教育と医療へ半分、残り半分を国家基金へと提言した。
 ノルウェー方式は、既存の石油公社から資金の一部を貰い受け新公社を立ち上げた。しかし、ブラジルが考えている新公社は、それを立ち上げる資金がない。岩塩下石油の売上金使途を心配する前に、岩塩下開発に必要な資金を、どう調達するのか考えるのが先だ。小さな金ではない。
 閣僚会議に平行し、岩塩下石油の開発計画を検討する資本家グループがある。埋蔵石油と国家所有を担保に、債券を発行して売り出すもの。ペトロブラスが、ブラジルで民間資本を募るより確実な方法という。
 ノルウェー方式は民族主義色が濃いと、業界関係者はいう。同国の石油開発公社には、大民間企業が背後に癒着し、公社を公私混合している。関係閣僚は、この辺の議論が足りない。ブラジルで岩塩下開発資金を調達しても、全額が岩塩下に使われるかは疑問だという。