ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ク空港で英官憲が再検査=EUが難民追放へ=違法移民取締り強化=ブラジル政府は報復処置検討

ク空港で英官憲が再検査=EUが難民追放へ=違法移民取締り強化=ブラジル政府は報復処置検討

ニッケイ新聞 2008年8月16日付け

 英国政府は十四日、英国行きブラジル人旅行者の入国査証を、二〇〇九年からクンビッカ空港で英国官憲により再検査を行うと外務省や法務省へ通告したことを十五日付けエスタード紙が報じた。不法滞在者を多数送り出すブラジルは、テロの中継拠点として伯英間に不協和音を奏で始めたようだ。
 英政府は、伯英間に政治的不快感を引き起こすとも違法移民の英国侵入を事前に取り締まると通告した。英政府は六月、同国内で不法滞在や社会不安を引き起こす違法移民の多い十一カ国のリストを公表した。
 ブラジルを始めボリビア、マレーシア、南アフリカ、ボツアナ、ナムビア、ベネズエラ、トリニダード・トバゴ、レソート、スアジランド、モーリス島など十一カ国。
 これは、今年中に不法滞在や違法移民が国外退去をするよう命じたもので、来年は違法就労の外国人狩りがあることを暗示している。EUは九月、移民法を制定し、難民の移動に歯止めをかける防波堤とする。
 英政府の通告は、駐伯英大使自身が外相と法相に手渡し、明白に圧力を掛けたもの。「たとえ外交的配慮を欠くとも、英政府のメカニズムをブラジル政府は容認して欲しい」という。英政府の官憲がブラジル国内で、ブラジル人に対し旅券や身分証明の検査を行う。
 ブラジル国内の空港で不正が発覚した場合、同人の手続きを行った旅行社にも幇助罪で責任追及の手が及ぶという。英政府は、ブラジルをテロリストの中継拠点として六カ月の内偵期間を設けたことを通告した。
 同期間が経過し何ら効果がなければ、次の爆弾措置が講じられると思わなければならない。英国には現在、十五万人のブラジル人不法滞在者が違法就労している。
 外務省はブラジル人出稼ぎが、米国に百五十万人、日本に三十二万人、パラグアイに四十万人、その他EUやカナダ、オーストラリアにそれを上回る数のブラジル人が滞在すると見ている。
 政府は、英政府の高飛車な態度を非難した。一方的な言い分も内偵期間も、言語道断である。外務省は、ブラジルに着陸する英国旅客機第一便から報復措置を施す考えらしい。また報復の前に、英高官と移民政策について意見を交わすべきだという意見もある。