ニッケイ新聞 2008年8月14日付け
ルーラ大統領が十二日、原油関連法を改正し、新油田からの売上金を教育振興と貧困対策に充当する意向を表示、と十三日付けエスタード紙が報じた。試掘企業七十社は鉱区配分までは譲歩するが、同法改正が規制管理基準まで及ぶことに反対した。採掘のロイヤリティを受け取っていた自治体は、改正に難色を示した。
大統領の声明は、全国学生連盟(UNE)大会でセーラサンパウロ州知事やリオ州のカブラル知事を前に発表され、UNEはその教育振興と貧困対策の見張り役だとした。岩塩下にある石油資源は、国家のものであり、一億九千万人の特に貧しい人々に配分すべきだと宣言した。
原油関連法は、一九九七年に制定。八十億バレルの埋蔵量とされる岩塩下油田の発見で同法の改正が余儀なくされた。政府は直ちに従来の試掘入札方式を中止、省庁間の資源開発審議会を結成し、従来の石油政策を見直すことになった。
大統領は、UNEに対し、岩塩下の石油を国家のために有効利用できるよう、協力を呼びかけた。軍事政権によって解体されたUNE本部再建は、改正原油法で生じる教育振興費から援助をするという。
岩塩下油田の売上金は、学資がないため進学できない貧しい数千万学徒の人材育成に教育資金として使い、自分の利益しか考えない数社の一存に任してはならないと、大統領は訴えた。
現行の試掘条件は、油田を発見した試掘企業が原油所有者となり、国庫へロイヤリティと税金を払うだけ。改正案では試掘専門公社を設立し、民間企業と合弁で試掘。水揚げは、出資率に応じて配分するという。
新油田から上がる石油代金の使途で、意見が二分。現在は、国と州、生産地が属する市で配分する。新たな意見では、石油は国家資産であり、国や州、市の占有物ではなく、国民のものという。
ブラジルは、やがて輸出産油国になる。原油輸出ではなく、付加価値の高い石油製品や加工ジーゼル・オイルとして輸出する。来年三月に岩塩下油田の石油が市販され始めれば、新たな資金源が生まれる。これを特権階級の懐に納めさせてはならない。
七十社からなる試掘企業は、鉱区やロイヤリティ配分の改正に同意するが、規制管理基準の改正には反対した。リオ州知事は、配分改正に反対。サンパウロ州は、検討委員会を設立し協議する。