ニッケイ新聞 2008年8月14日付け
「小さな失敗はあったが、全体としてみれば完全な成功だった」。六月のサンパウロ市百周年式典後に初めて開かれた、九日に文協ビルで行われたブラジル日本移民百周年記念協会理事会で、上原幸啓理事長はそう総括した。百周年式典や日本文化週間の精算は終わっておらず、ブロクラシア(お役所仕事)に直面していることが報告された。また〃小さな失敗〃について各委員長からは、入場券配布問題を中心に会場の食べ物価格などいろいろな反省点が出された。
まだ終わらない精算
最初に百周年記念協会の会計、高橋ヒロシ氏は「口座には一万レアルしか残っていない」とし、全ての資金は免税口座団体OSCIPに入っていると説明。「本来ならここで会計報告すべきだが、職員を減らした影響でまだ終わっていない。次回には必ず報告できる」と述べた。
OSCIPの会計担当、国井ジェルソン氏は「口座に百万レアル以上あるが、ブロッケア(停止)されてまだ支払いに使えない状態。全ての支払い請求に応じられていない」ことを明らかにした。
同団体の中矢レナート理事長の代理、渡部和夫氏も「セブラエ、ブラジル銀行、連邦議会分、サンパウロ市役所などの政府系の機関や団体の資金振り込みはブロクラシアで遅れている。いつ精算が終わるか、これにかかっている」とした。
さらに、〇六年にIPC社が百万レアルを寄付すると発表した件に関して、三百五十万円を百年史写真集に使った以外は、いまもって宙に浮いた状態と報告した。
入場券配布問題
重田エルゾ祭典委員長は、式典の主な反省点は次の三つと説明した。
最も批判が多かったのは入場券配布問題。「入場券を受け取ったのが六日前だった」とし、「サンボードロモに決まったのは四年前。どうしてこんなに入場券が来るのが遅れたのか」と業者や協会身内に対して、不平をもらす。
同委員長は「文協に三日間も自主的に泊まり込んで入場券の仕分け作業をした人もいた。もちろん推奨されることではない。でも必要だった。こういうボランティアのおかげでなんとかのりきれた」と振り返った。
松尾治執行委員長も「直前に入場券を減らされて、高齢者で参加できなかった人がいた。会場に入りきれないので、直前に一律五五%も人数を減らした。高齢者の方で諦めきれない人がいたのではないか。本当に残念」と振り返った。
モジ文協の中山喜代治会長は「素晴らしい式典だった。特に千人和太鼓は凄かった」と賞賛しつつも、入場券配布問題に関して「そのせいで予約していたバスをキャンセルせざるをえなかった。地方文協との関係をもっと大事にしてほしい」と強く注文した。
会場での食べ物問題
批判が二番目に多かったのは会場での食べ物関係。重田祭典委員長は「最初、弁当を持ち込んではいけないとの情報だったから業者に入ってもらった。その後、発砲スチロールやプラスチックの容器の弁当だったらいいという話に変わり、業者が辞退したこともあった」という。
さらに問題になったのは値段だ。「水に四レアルとっていた業者がいた。考えられない高値」。さらに「ブッフェには長い行列ができ食べるまでに大変な時間がかかった」と反省点を列挙した。
重田委員長が三番目にあげたのは「入場券に技術的問題が発生し、全てのポルトンを通過できてしまった」点。ただし、「結果的に、それが原因となる大問題が起きなかった」という。
最後に、加盟団体代表からの「百周年後の日系社会をどうするのか」との声に、渡部和夫顧問は「来年二月にシンポをやったらどうか」との意見を出したが、上原幸啓理事長は「文協主催の第二回統合フォーラムをブラジリアで開催するよう準備をしている。新しい団体ばかり作っても何も進まない。ある団体の繋がりを強化しなくては」と語った。