ニッケイ新聞 2008年8月14日付け
JICA(国際協力機構)中部が実施し、生徒の国際理解、感覚の養成を目的に行なう「教師海外研修プログラム」の九人が約一週間の行程を終え、八日午後、JICA聖支所で記者会見を行なった。
一行は先月三十日に着聖、日本移民史料館などリベルダーデ区を視察、モンテ・アズール(ファベーラ)や大志万学院、スザノ日伯学園など私立日系教育機関を訪問したほか、平野植民地、エタノール工場、JICAが支援するプロジェクトの現場を視察。パラナ州クリチーバ市で環境教育プロジェクトや市民大学にも足を運んだ。
ブラジル人子弟が多く学ぶという三重・西笹川中学校の田中真弓さん(46)は、デカセギ問題などを検討する文化教育連帯協会(ISEC)の取り組みなどに触れ、「地域社会が愛情をもって子供たちに接することが大事であることを認識した」と感想を述べた。
ドイツ系アメリカ人の夫を持つ野口久美子さん(30、長野・南宮中学校)は、「主人のルーツなど考えたこともなかった」と話しながら、「授業のなかで生徒たちに日本移民の歴史をしっかりと伝えていきたい」とやる気を見せた。
NGOスタッフで同プログラムの企画に関わった平野清恵さん(54)は、「自分自身の見方がどう変わったのかを見極め、どう生かすかが大事」とし、学校や地域社会への還元も課題であることを強調しながら、「色んな考えがあることを認め、多文化共生の足元作りができれば」と表情を引き締めた。
教師らは、年末までそれぞれのテーマに沿った今回の研修を生かした授業を行ない、生徒たちに国際理解の大事さを伝える。