ニッケイ新聞 2008年8月13日付け
地球温暖化で二酸化炭素(CO2)の排出量削減などが叫ばれているが、十一日伯字紙が温暖化と主要農作物生産に関する研究結果を報じた。
それによると、大豆やフェイジョン、米、トウモロコシ、綿、ひまわり、カフェは、温暖化で作付可能な面積(以下、作付面積)が減り、二〇二〇年は七四億レアル、五〇年は一〇七億レアル、七〇年は一四〇億レアルの減収予想。〇七年に一億三三三〇万トンを記録、今年も一億四三三〇万トン収穫予想の農産物は多大な影響を受けることになる。
最も影響が大きい大豆の作付面積は、二〇年に二三・五%、五〇年に三四・一%、七〇年に四一・三%減少の予想。特に、南リオ・グランデ州は、州の大半で大豆の収穫が困難になるという。
また、二〇年の作付面積は、フェイジョン四・三%、米九・七%、トウモロコシ一一・九%、綿一一%、ひまわり一四%、カフェ九・四%の減少予想。七〇年の作付面積は、一三・三%、一四・一%、一七・二%、一六・一%、一八・一%、三三・〇%とさらに減少する。
一方、マンジョッカの二〇年の作付面積は三・一%減少の予想だが、五〇年は一三・四%、七〇年は二一・二%の増加予想。サトウキビの作付面積は、二〇年一五九・七%、五〇年一三八・五%、七〇年一一八・一%の増加予想。サトウキビの作付面積は一旦増加後に減少するが、CO2吸収で糖度が増し、アルコール生産は増加するという。
これらの予想は、灌漑施設増設も念頭においてのもので、気温上昇で乾燥化が進み、水不足もより深刻化というのは気掛りだ。また、東北部の半乾燥地帯では主要作物の収量減をカバーするため、セリグエラやソルゴなど、土着植物に活路を見出す必要もある。
農産物生産はブラジル経済の四分の一を占め、主要作物の作付面積減少は食糧危機への懸念も生むが、研究者は気温変化や水不足に強い遺伝子組替え種開発などの対策も提案している。
二度以上気温が上昇すれば環境修復は困難とされる中、森林伐採抑制などによる温暖化ガス排出削減とともに、生態系の豊かさを活かした作物開拓など、環境変化対策も不可欠だ。農牧業、環境、経済などの総合対策を中長期でたてなければ、農業大国の名は過去の栄光になりかねない。