ニッケイ新聞 2008年8月13日付け
「苦労を労い、成功を喜び、将来に繋げたい」―。母県沖縄から約六百人の慶祝団を迎え、今月末に多くの関連行事を行なう『ブラジル沖縄県人移民百周年式祭典』。十一日に来伯した在那覇ブラジル名誉領事の西原篤一さんが与儀昭雄・沖縄県人会長と同日来社、「移民してよかったと思えるような百周年にしたい」とやる気をみなぎらせた。数年来、様々な形で関連事業の支援を行なってきた沖縄きってのブラキチである西原さんは、「地ならしと見送り役です」とブラジル側での調整役を自任、来月四日まで滞在する。
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「本当は県民全員できたい気持ちだけど、実際は無理だからね」。
ユーモアを交えながら西原氏が伝える母県の注目の高さは、沖縄タイムス、琉球新報、沖縄テレビ、琉球放送テレビなど全地元メディアが大挙して来伯することからも明らかだ。
日本航空(JAL)のブラジル就航三十周年記念でもある初の沖縄チャーター便で約四百人、総勢六百人の慶祝団が来伯。関連イベントは五日間で二十を数える。
空港での歓迎セレモニーも歓迎夕食会での乾杯の音頭にいたるまで、調整を行なう西原さんが重要課題に真っ先に挙げるのは、式典での高齢者の感謝状授与の方法だ。
「どうしたら感謝の気持ちが伝わるか」と一世への顕彰に心を砕く。
今年末に落成が予定されている「移民資料館」(総工費八千万円)の募金活動でも自作CDを販売、慈善コンサートなどを開催してきた。
「すでに(民間負担一千万円のうち)寄付が六百万円集まった。県民の善意が届きつつある。必ず達成します」と力を込める。
式典に登場するシーサー一対の輸送費をまかなうためゴルフ大会を催し、図書百冊の寄贈なども行なうなど、獅子奮迅の働きを見せる西原さんだが、ブラジルに親戚はいないという。
しかし、そこは「イチャリバチョーデー(一度会えば、兄弟)」という沖縄の諺通り、「兄弟は沢山いるんですよ」と破顔一笑。
その一人である与儀会長は、「これから大忙しですが、西原さん、みなさんと一緒に式祭典を盛り上げていきたい」と母県からの頼もしい援軍の到着を喜び、意気込みを見せた。