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大学の25%は閉鎖あり?=保健衛生、農業関連の学部で=雨後の筍を分別する時期か

ニッケイ新聞 2008年8月8日付け

 七日伯字紙が、六日に発表された〇七年大学生向け統一テストなどの結果を報じた。対象は医学部や薬学部などの保健衛生と農業関連の一六分野。フォーリャ紙が、医学教育機関として不適格な医学部が二七あり、医師の四人に一人はこれらの医学部卒と報じたように、一六分野三二三八学部中、最良、良は二一・四%の四三四学部だったのに対し、悪、劣悪は二五・一%の五〇八学部。
 この評価(CPC)は、一般教養と専門知識テスト(Enade)、入学時からの進捗度(IDD)、教授陣や施設、教育への満足度などの三項目による総合判定で、〇四年より評価が落ちている学部も相当数ある。
 文部省では、悪、劣悪と評価された学部は高等教育機関としての資格がないとし、改善指導のための担当者を派遣。改善されない場合は学部閉鎖もありうる。サンパウロ州の場合、医学部などもあるサンパウロ総合大学(USP)と州立カンピーナス大学(Unicamp)は、Enadeを受けていないが、全国で二五%の学部が、カリキュラムや教授陣の充実などの対応を迫られている。
 〇七年の場合、医学部で最高評価を取った四学部は、すべて国立。一方、失格を宣言された二七学部は国立五、州立二、市立三、私立一七。
 他の学部も傾向は同じで、Enade、IDD、CPCの三項目すべてが五だった二五学部は公立のみ。一方、悪、劣悪と評価されたのは国立二三を含む六四学部が公立だった以外は私立。二〇の私立大学には、悪、劣悪と評価された学部が四つ以上集中している。
 この差は、予算の確保、施設や教授陣の充実、学生の選抜が厳しいなどによって生じているとみられ、私立大には、風邪の診断も出来ず、手術用の針につばをつけて糸を通そうとした研修生など、医師が驚くような医学生もいるという。一方、CPCで五と評価された私立サンカミーロ大学センターの放射線科は仕事もしながら学ぶ学生が多いなど、学生の意識の差もあり、施設や教授陣も充実している。
 高等教育を受けているのは人口の一割のブラジル。七割以上学生がいる私立大が閉鎖されたら高等教育の将来や現場の技術管理職不足が心配との声や、政府には閉鎖まで持っていく力はないという評価もある中、雨後の筍のように乱立した大学を適正に評価し、改善指導すべき文部省の力量も測られようとしている。