ブラジル内では350万を超える企業が、なんらかの理由で負債の返済が遅れており、ここにも実質上の景気後退(リセッション)の影響が出ていると、15日付フォーリャ紙が報じている。
これは、銀行業務集中サービス会社(Serasa)が7月に行なった調査で明らかになったものだ。それによると、全国法人登録台帳(CNPJ)に登録されている企業1400万社のうち、その25%にあたる約357万8千の企業に債務返済の遅れが見られたという。これをさらに、名目上の登録でなく、実際に機能している企業に限って見てみると、700万の実態のある企業のうち、約半分に返済の遅れがある計算となる。
Serasaが定める「返済の遅れ」には、銀行への支払いの遅れや、口座の残高以上の額の小切手の発行、支払いを行なわないため資材納入業者や従業員から訴訟を起こされた、支払滞納により電気や電話の使用を止められた、財政改善のために債権者と相談して裁判で段階的な返済計画を立てた、などのケースが含まれる。
また、Serasaの集計には国や州、市への税金滞納や国立社会保険院(INSS)への支払い状況などに関するデータは含まれていないため、仮にそれが含まれていたら、さらに増えた可能性がある。
この調査は毎年7月に行なわれているが、債務の遅れを抱えた企業の数は12年には299万2千社、13年には328万6千社と年々増加傾向にある。14年の場合の上昇幅は前年比8・9%とかなり大きい。
返済遅れの企業を地域別に見ると、その約3分の1が集中しているサンパウロ州を含む南東伯が51%と圧倒的に多い。以下、北東伯(18%)、南伯(17%)、中西伯(8%)、北伯(6・1%)と続いている。
また、返済の遅れている企業の91%が年収5千万レアル以下の中小企業で、大企業は9%となっている。これらの企業に属している従業員の数は、ブラジルの労働台帳に登録されている人の52%に相当する。
さらに業種別に見てみると、最も多いのが商業の47・2%だが、サービス業も42・6%とかなり多い。工業は9・1%となっている。
Serasaのエコノミストのルイス・ラビ氏によると、今回のこの数字は、今年の最初の2四半期で国内総生産(GDP)が2期連続でマイナス成長を計上し、実質上のリセッションに入った状況を反映したものだという。「現在はただでさえものが売れないのに、それに加えて材料や賃貸費、人件費、銀行への返済利子が上がっており、企業は苦しんでいる」と同氏は語っている。