ニッケイ新聞 2008年8月7日付け
ウンジェル長期計画相が四日、「アマゾンは法的未整備の坩堝(るつぼ)である。急務の課題は、広大な公有地を律する法規を設け、土地の管理や利用を可能にすることだ」とFiesp(サンパウロ州工連)で農業関係者を前に語ったと五日付けフォーリャ紙が報じた。
それがないから誰でも公有地へ容易に侵入し、不法伐採が横行するという。未管理の広大な公有地が放置されているのは世界でも類例がない。これらを解決するのが、喫緊の課題だという。
ブラジルは、農産物の運搬や農業資材の調達、農産加工技術などの問題を抱えている。輸送で最大のネックは、中央西部と北部を結ぶ国道がないこと。資材では肥料を輸入に頼っている。加工では食糧カルテルの支配から抜け出せない。
農産加工は、政府と生産者の戦略的つながりを築く法整備が必要。生産者の営農活動を助ける最低価格保障制度や生産者の利益保障、農業保険がない。農産物市場の再組織化も必要だ。
現在の農業生産システムでは生産者が、中間業者や買い付け人の結託により、生かさず殺さずの状態に置かれている。農業協同組合を通じて貯蔵や在庫調整、競争力強化をしている位が生産者保護といえる状況だ。
農業は目立たない存在であったが、ブラジル産業の牽引車である。ブラジルは今、農業を基本とする経済発展の企画を始めたところ。
農業政策には、大農と小農を基本とした二通りある。両グループともロビーや族議員がいて、政策立案に強い発言力を持つ。農地規制ばかりでなく用途類別、環境規則も必要。さら伐採と植林計画、小農の営農計画、農業の技術革新、農産加工の発展を盛り込んだ農業形態の企画が必要だ。