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越権防止委の設置=警察国家と恐怖政治を未然に

ニッケイ新聞 2008年8月6日付け

 最高裁のメンデス長官は四日、捜査当局の越権行為を取り締まる専門委員会の設置を提案と五日付けエスタード紙が報じた。提案は、ジェンロ法相やソウザ検事総長、ブリットOAB(全国弁護士協会)会長が出席する同紙主催の公開討論会の席上で行われた。
 連邦警察のサチアグラハ作戦が見せしめ的要素が強いとして、司法当局からひんしゅくを買っていた。容疑者の拘束と釈放が繰り返され、司法官と検察当局、連警による最高裁長官の不信任動議にも発展。また連警内は二派に割れる事態に至り、捜査主任が圧力により辞任に追い込まれた。
 汚職捜査は、容疑者の基本的人権を考慮すべきだと最高裁が訴えた。容疑者にとって拘束が既に社会的制裁であり、手錠をはめ刑事犯罪人の護送車に押し込むなどのショー的要素に抗議。
 法相は連警の手法を妥当化し、軍政時代の拷問執行者の処罰を訴えたりして話題を呼んだ。拷問執行者については、特赦法が適用されるか否かで司法関係者から門外漢の下馬評だといわれた。
 検事総長が容疑者の基本的人権は、政府の立場と容疑者の立場で考慮すべきで、原則論で論じるべきでないという。OAB会長は、連警の傍若無人な家宅捜査や寝込みの拘束などを非難した。
 ルーラ大統領が弁護士特権に批判的なことで、OABは犯罪対策の錦の御旗をかざし、何でもできる警察当局と政府の警察国家的な盗聴作戦に歯止めを求めた。
 捜査当局には最新鋭器が導入され、市民の私生活が常に監視されているらしい。警察とは想像するところと異なり、犯罪組織との癒着や情報漏洩などが懸念されている。