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ブラジルへの憧れが仇となる=17歳英女性をバラバラ殺人=在英ブラジル人社会への圧力懸念も

ニッケイ新聞 2008年8月2日付け

 ゴイアス州ゴイアニアで、十七歳の英国女子学生のバラバラ殺人事件が発生。伯英両国メディアが大々的に報じている。
 被害者のカーラ・M・バークさんはロンドン出身の英国人で、友人には在英ブラジル人もおり、ブラジルの大ファンだったという。
 四月に初来伯し、三週間滞在後、帰国。もっとブラジルを知りたいと願っていた被害者に、モハメド・アリ容疑者はブラジルまでの旅費負担の申出。この申出に家族は反対したが、家出同然で五月末に再来伯。容疑者とゴイアニアに滞在中だった。
 オルクッチにブラジル選抜のユニフォームを着たり見せたりしている写真六枚やゴイアスのサッカーチームの写真も掲載し、ブラジルとスポーツの好きな被害者だったが、事件直前は容疑者との関係も冷え込み、友人に英国に帰りたいと告げていた。
 ところが、被害者からの帰国希望を聞き、容疑者が逆上。一日付けエスタード紙は、七月二十七日未明に被害者の胸を刃物で一突きして殺した後、遺体を切断、写真撮影した後、パーティーに出かけたと報道。帰宅後に仮眠をとってから友人を訪ねた後、車で遺体を捨てに行ったという。
 この部分については、市警側の発表が変わったのか、同日フォーリャ紙などは、殺害は二十六日夜で、直後にパーティーに出かけ、二十七日に帰宅。その後、遺体を切断し、写真撮影の上、捨てに行ったと報じている。
 事件は、二十八日に胴体部分が入ったトランクが川沿いで発見されたのが発端で発覚。「バラバラ殺人事件で遺体の一部発見」の報道をレコルデ国際放送で見ていた被害者の友人の在英ブラジル人が、うなじの刺青から被害者と気づきブラジルに通報。容疑者が浮かんだという。
 三十一日の自供によれば、容疑者は麻薬使用者で密売にも関係。被害者から警察に通報すると脅されていたという。また、遺体を捨てるのを手伝った友人が共犯として手配されたが三十一日現在、捕まっていない。警察では遺体残り部分の捜索などを継続している。
 ブラジル訪問の夢はかなったが、若い命を散らせた女性。この事件でブラジルのイメージに傷がついたと嘆く人もいるが、もっと深刻なのは在英ブラジル人。ブラジル人男性が英国警官に射殺された時とは逆の状況だが、両国間の緊張や在英ブラジル人社会への圧力の高まりが懸念されている。